「東大までの人」と「東大からの人」〔受験生必読〕入ってみるとよくわかる

2010年02月03日(水) 週刊現代

週刊現代賢者の知恵

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東大文型─── 愛読書なし、教養なし、常識なし。不安と失望の4年間

嫌われたくないから

「東大文系は国家官僚を輩出してきましたが、ここ20年で官僚の不祥事が相次ぎ、それがエリート、つまり東大生への世間の風当たりを強くしています。さらに、いまの格差社会では、エリートに対する妬みが強く、東大生が受けるプレッシャーはより重くなっている。テレビに出ているタレントの名前を知らないと『大衆感覚が足りない』と言われるような空気が蔓延する中で、エリートは大衆に媚(こび)を売らなくてはいけない。

 そこで、東大生は教養あるエリートと見られることを嫌い、戦略的に普通の学生らしく振る舞うようになった。こうした『普通症候群』の東大生が、『教養からの逃走』へと突き進んでいるのです」

 そう語るのは『論争・東大崩壊』の編著者である京都大学名誉教授の竹内洋氏だ。この著作は約10年前に出されたものだが、いまやその『逃走』は当時以上に勢いを増し、本当に教養ゼロの東大生が増えているようだ―――。

 東大法学部3年生(21歳)は、身長180cmの美男子。日焼けサロンで焼いたとわかる黒々とした風貌は、いかにも東大生らしくない。彼は、最近まで六本木でホストとして働いていたが、そのきっかけは東大コンプレックスからだった。

「うまくやれば『東大だから』、失敗すれば『東大なのに』と、いつも東大生という色眼鏡で見られることが嫌なんです。だから、東大というブランドを外した自分の価値がどれくらいか知りたくて、ホストをやってみた。お客であるキャバクラ嬢やカネ持ちのおばさんたち相手にやる、真剣勝負の駆け引きは本当にエキサイティング。2カ月で月に100万円売り上げるほどになりました」

 経済学部の2年生(20歳)も、東大生というイメージからの脱却を図るべく、麻雀に呆(ほう)けているという。

「入学当初は積極的に授業に出ていましたが、ある日、世界金融危機の構造について他大学の友達に説明していたら『難しい話をするな』と言われたんです。あげくに『お前は勉強ばっかりして、偉くなって、庶民感覚をなくしていくんだろう』と憐(あわ)れむような目で見られた。その時、勉強している東大生は嫌われると気づいて、『それなら、勉強はやめよう』と。いまは週に一度も授業に出ないで、毎日、友達と麻雀ばかりしています」

 あまりに子どもっぽい「脱・東大」活動。文学部の4年生(24歳)は、入学早々にキャンパスからドロップアウトした。

「成人式で地元に帰った時、久しぶりに会った友達から『東大生とは会話が合わないから』と敬遠されたんです。勉強より友達が大事だから、東大生に見られないよう、まず学校に行かないことにした。バイトも東大生らしい家庭教師や企業のインターンなどではなく、工事現場で日雇いの力仕事をやっています。もちろんバイト先で大学名を聞かれた時は、『早稲田です』と名乗る。そんなことばかりしているせいか、結局、2年も留年しています。今年卒業して、しばらくはフリーターをやりながら、夢を探したい」

法学部の重厚な建物(左)は、本郷キャンパスの中心、安田講堂の目の前に建つ

 今回取材した東大生たちには、「一応、東大です」という言葉を使う人が多かった。がり勉イメージをぬぐい去ろうと、東大生はキャンパスから、そして、勉強から遠ざかるのだ。しかし、「その結果、自分の首を絞めて、大学入学後に極端に学力を低下させている学生が多い」という声もある。

 東大文系も理系と同様、2年次に、法学部、経済学部などの学部に学生を振り分ける「進学振り分け」がある。

「文系の最高峰は法学部。その進学内定者の第一段階の基準点は、'07年に76.1でしたが、'09年には75.4。過去3年間、右肩下がりなのです」(東大職員)

 この数値だけで東大生の教養が低下していると決めつけるのは、早計かもしれない。そこで本誌は東大生50名を対象に、一般常識の問題に回答してもらった。すると“珍回答”が出るわ出るわ・・・・・・。

 まずは「日本のGDPはいくらか」という問題。正解は「約500兆円」だが、「40兆~50兆円」という回答も多く、中には「3万円」とか、「5000円」と回答する学生もいた。

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