小池良次「シリコンバレー・イノベーション」

失速する米国携帯マルチメディア放送
日本は、本当に成功できるのか(前編)

2010年12月11日(土) 小池良次(Ryoji Koike)
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総務省HPより

 2010年12月3日、総務省は『携帯マルチメディア放送の認定方法などに関する意見募集の結果』を公表した。そこには日本放送やエフエム東京、KDDI、NTTドコモなどが顔をそろえている。役者も出そろい、いよいよ日本でも携帯マルチメディア放送が間近になってきた。

 しかし、先行事例として注目されてきた米国フローTV(FLO TV)は苦戦を続け、サービス終了の噂さえ飛び交っている。そうした中、これから同サービスに取り組む日本に勝算はあるのだろうか。米国の携帯マルチメディア放送を紹介しながら、日本におけるサービスの行方について考えてみたい。

米国が先行する携帯マルチメディア放送

 携帯電話を対象とするテレビ放送は、大きくふたつに分かれる。既に日本ではおなじみのワンセグ放送は、テレビ業界が携帯でも放送が受信できるようにサービスを改良している。つまり"テレビ放送の拡張ビジネス"といえる。逆に、現在準備中の携帯マルチメディア放送は、通信事業者などが放送設備と番組を提供する。

 日本ではワンセグが先行したが、米国では両者の順番が逆になる。米国ではマルチメディア放送の「フローTV」が既にサービスをおこなっている。一方、米国版ワンセグ放送(MDTV:Mobile Digital TV)は米国の放送局がこれから普及させようとしている。

 米国が先行していたため、日本ではマルチメディア放送の伝送方式を巡って、フローTVで実績を持つMediaFLO(Forward Link Only)方式と、日本のデジタル放送でおなじみのISDB方式*1 が争われた。NTTドコモ、KDDIを巻き込んでの規格争いは大きな注目を浴びたが、総務省は結局、ISDB方式を選択した。

*1 ISDBには、衛星デジタル放送のISDB-S、地上波デジタル放送のISDB-T、デジタルCATVのISDB-Cなど、いくつかの方式がある。マルチメディア放送はISDB-T規格ファミリーのひとつISDB-Tmmを利用する。ただ、ISDB-Tmmは、規格策定の作業中。
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