徹底取材 小沢一郎はいま こう考えている
菅と仙谷をどう始末するか?
民主党を割って自民党と組むのか、それとも・・・
〔PHOTO〕gettyimages

 菅政権のダメさ加減に飽き飽きし、うんざりした気分で後ろを振り返ると、そこにまた小沢一郎の姿が見える。見慣れた光景が何度も繰り返されるのは、日本の閉塞状況を表しているのかもしれない。

「仙谷はバカだから」

「菅と仙谷は、もうおしまいだ。何もしなくても、あいつらが転がり落ちて来るのを待つだけでいい。民意も天命も、オレに『総理をやれ』と言っている」

 小沢一郎元幹事長は、最近、ある会合でそう断言し、その場にいた者を驚かせた。

 検察審査会の議決により、政治とカネの問題で強制起訴を待つ身の小沢氏である。検審議決の無効を求める特別抗告も最高裁によって棄却され、司法の場で裁かれるのを待つだけだ。

 つまり、政治的には"死人"に近い。小沢氏の師・金丸信氏は、脱税容疑で逮捕・起訴され、すべてを失った。小沢氏もまた、同じ運命を辿るだろう—それが常識的な見方である。

 しかし、小沢氏自身はその運命に抗うつもりでいるのだ。

「我に天命あり」

 この期に及んでそう言い切る小沢氏を前に、その場にいた者はすっかり気を呑まれ、やや呆然とした。

 実際、小沢氏はこのところ極めて意気軒昂で、菅政権の混乱をよそに、活発に動き回っている。

 12月1日、小沢氏を支える衆院議員の会「一新会」の懇親会が、東京・赤坂で開かれた。その場に主賓として招かれた小沢氏は上機嫌で、約40人の議員らの間を精力的に動き回った。

「小沢さんは『(来年度の)予算は、誰が仕切って、どう組み立てていくのか。それが見えん』などと話していました。直接、菅政権を批判するのは控えているようですが、政権運営に、かなりの不満を持っている様子は見て取れましたね」(一新会所属議員の一人)

 小沢氏はこれまで、他の議員と群れ合うことはほとんどなかった。カネと権力、そして「小沢一郎」という名前にモノを言わせ、他の国会議員を睥睨するのが"小沢流"だったからだ。

 そんな小沢氏が、豹変した。11月中旬、小沢氏は4夜連続で民主党の若手議員たちと「意見交換の会」を開催。その間に小沢氏が言葉を交わした議員の数は、のべ90名にも上る。かつては、新人やペーペーの議員など、歯牙にもかけなかった小沢氏が・・・である。

 そしてその場では、あのムスッとして無愛想な雰囲気が特徴の小沢氏らしくもなく、次々と放言を繰り出したという。

「私たちが、『仙谷さんが最近、解散、解散と騒いでいますが』と水を向けたら、『そうだ。そう言ってるらしいな』とムッとしていました。ある議員が、『でもブラフ(脅し)ですよね』と聞くと、『いや、あいつは本気だ。あいつはバカだから、ホントにやるぞ。バカだからやるぞ』と吐き捨てていました」(新人議員の一人)

 小沢氏は仙谷氏を何度も「バカだ」と連呼した上で、

「いま選挙をやったら、君ら新人は全滅だ。ここにいる連中は一人も残らない。このままじゃ(民主党はもちろん)自民党だって勝てないし、日本の民主主義が崩壊する。日本の政治がまた漂流してしまう」

 と、強く警告したという。

 まるでゾンビのように死地から立ち上がり、これまでにない行動を取り始めた小沢氏は、いったい、いま何を考えているのか---。

「東北生まれの口ベタで」というのが決まり文句の小沢氏は、それを口実に滅多にホンネを周囲に漏らさず、殊更に自分をミステリアスな存在に仕立てることで、政治命脈を保ってきた。

 政治をトランプの「ポーカー」に喩えれば、小沢氏は現役政治家の中では随一の名手と言える。小沢氏は政争という、ある種のギャンブル的行為を40年近くも繰り返し、負けて逼塞する時期はあったにせよ、破産するほどの大負けはせず、常にいつのまにやら復活を果たしてきた。

 小沢氏が、致命的大敗をしなかった理由のひとつが、「ポーカーフェイス」だ。

 仏頂面の小沢氏と対峙したとき、相手は、「この男は、どんな手札を揃えているのか」と、判断に迷う。そしてあり得ない場所で勝負を降りたり、あるいは、不用意に賭け金を吊り上げてしまい、結局は自分が致命傷を負うのだ。

 現在の、カジノで博打をしているような危うい民主党政権において、勝負の場にいるのは3人のプレイヤーだ。菅首相と仙谷官房長官、そして、一度は消えたはずの小沢氏である。

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