伊藤博敏「ニュースの深層」
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暴力団の窮乏を象徴する「川崎駅前」の無残な「地上げ跡」

2010年12月09日(木) 伊藤 博敏
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 地上げの跡地は、それぞれに痛々しいものだが、これほど無残な「地上げ跡」には、そうそうお目にかかれない。

 瓦礫が方々に積まれ、取り壊しの廃材が完全に片づけられておらず、虫食いで残った建物が、バラック化して吹けば飛びそうだ。

 不動産屋風に言えば、JR川崎駅前徒歩5分の一等地。国道に面して近くに市役所と区役所、スポーツクラブに商店街があり、住環境は抜群である。

 だが、この敷地面積約600坪に手を出す"まとも"な不動産業者やデベロッパーはいないだろう。

 不動産業者間では「川崎案件」として知られており、「地上げ跡」が象徴するようなこんな危ない情報が飛び交っている。

「もともと地上げをしていたのは稲川会系の解体業者。その下で住吉会系と山口組系が地上げに動いていた」

「地上げの途中で、資金を出していたマンション業者のダイナシティが倒産。それを機にややこしくなり、地元の稲川会系組織が横やりを入れて、ますますややこしくなった、一時、山口組系Y組と稲川会系Y一家が一触即発の状態になった」

「今年のゴールデンウィーク前には、上場企業への売却が決まったのに、不正登記で中断した。後ろで糸を引いているのは山口組系の組織だ」

「結局、最後は地元だし稲川会系Y一家がまとめるだろう。山口組系K会が、Y一家に敬意を表して『引く』と伝えた」

 登場するのは暴力団系の不動産、解体、地上げ業者ばかりである。東西広域暴力団の中核となるような大手が関与、「しのぎの場」となっている。

 「地上げ」との関係が証明されているわけではないが、土地に関与していた稲川会系Y一家の元幹部が、今年1月、射殺されるという事件も発生、「放置できない」ということで、警視庁組織犯罪対策4課が捜査に乗り出し、関係者の事情聴取を始めている。

「『なんでもあり』の連中だから犯罪の宝庫。不正登記に文書偽造、背任横領に恐喝。組対4課がどれで切り取るかで事件になる。関与したのは数十名で、中核となる業者は10名ぐらい。誰が逮捕されてもおかしくない」(事情を知る不動産業者)

 暴力団系業者が群れたというだけの話ではあるが、この「川崎案件」が象徴するのは、暴力団の窮乏である。

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