大研究シリーズ
部位別がんの始まりと終わり
「助かるがん」「助からないがん」「再発と転移」

(週刊現代)

 どこにできたのか。いつできたのか。その違いだけで助かるケースと助からないケースに分かれる。がんは残酷だが、死と向かい合わせの病だ。「敵」を知ることこそ、わが命を守ることにつながる。

「前立腺がんの転移で最も多いのは、骨盤や脊髄への骨転移です。それ以外だと、リンパ節が挙げられる。転移率は術後10年で約30%なので、がんとしては非常に根治性が高いと言えます」(前出・吉岡教授)

 ただし、治癒したとしても手術後、男性機能の喪失や失禁などの後遺症が出る可能性があるので、覚悟も必要だ。女性ホルモンを投与するホルモン療法では、胸が膨らんできて、10年も続けると骨がもろくなって太りやすい体質になり、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まる、という報告もある。

「50代や60代はまだ働き盛りの人も多く、男性機能が失われることへの抵抗感から手術をためらう人も多い。しかし私は男性機能より命のほうを優先すべきだと思います」(前出・篠原医師)

大腸がん

「がんにかかる前は、うぬぼれとったね。まだまだ体力もあったし、自分ががんにかかるなんて想像もしていなかった。トイレで出血に気付いたときも、痔かなと思った。もともと痔が悪かったから。だけど、何だかずっと痛いんだよ。疼くような痛みがある。出血も、いつもの痔とは違う。『こりゃイカン』と思って病院に行ったんだ」

 こう語るのは、野球評論家の豊田泰光さん(76歳)。'01年、直腸に初期の大腸がんが見つかった。

 現役時代は西鉄ライオンズ「野武士軍団」の一員として鳴らしただけに、言うことも勇ましい。

「医者に行くときは覚悟していかないとダメだ。大丈夫かな、きっと大丈夫なはずだなんて弱気で行ったら、野球ならすぐ負けてしまう。がんかもしれないという思いがあったら、なるべく早く『さあ、行こう!』という気持ちで病院に行くことだよ。オドオドしているのが一番みっともない」

 とはいえ、こんなホンネもぽろりと漏れる。
「やっぱり恐怖だったよ。平気な顔はしてたけど、ほんと参った。まだ若いのにがんで死んだらどうするんだろうと、頭がすぐそっちに行った」
開き直るしかない。医師に身を託して、腸を25cm切除した。

「治りやすい」がん

 大腸がんのステージは、0~4期まである。0期はがんが粘膜にとどまるもの。1期は大腸壁にとどまるもの。2期は大腸壁を越えてはいるが、隣接臓器に及んでいないもの。3期はリンパ節転移のあるもの。4期は、腹膜・肝臓・肺など遠隔転移のあるものだ。

 大腸がんは、早い時期に発見されれば、ほぼ完全に治すことができるとされる。1期の5年生存率は95%超。かなり高い確率で「助かる」と言われている。

 大腸がんの中には、急速に大きくなって助かりにくい「内分泌細胞がん」というものもあるが、これは大腸がんの検査でも、通常はそれを疑って診察することがないくらい珍しいものだという。したがって、「助かる」「助からない」は、大腸がんが見つかった時点でどれだけ進行していたかの一点に尽きる---そう力説するのは、神奈川県立がんセンター副院長の赤池信医師だ。

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