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大研究シリーズ
部位別がんの始まりと終わり
「助かるがん」「助からないがん」「再発と転移」

週刊現代 プロフィール

 難しいがんであることは間違いないが、肝機能が悪くて手術ができないケースでも、がんをじかに攻撃するラジオ波焼灼療法で治療することはできる。適応するのは90歳以下で、リンパ節転移がなく、腫瘍が3cm以下でがんの個数が3個以下の場合だ。

 とはいえ、肝臓がんは再発も多い。
「手術・ラジオ波いずれの場合も、術後1年で20%が再発し、3年で60~70%が再発します。肝臓内で再発が繰り返され、それらが進行してくると肝臓の外へ転移するのが一般的です。そうして末期になると肝機能が働かなくなり、その患者さんの9割が肝不全と黄疸で亡くなる」(前出・佐藤医師)

 どのがんも早期発見が生死の分岐点になるのは同じだが、とりわけ肝臓がんではそれがとても重要なのだ。

男性機能か、命か

前立腺がん

 男性特有の前立腺がんは、肺がん同様、年齢の上昇とともに死亡率も上がっていくという特徴がある。

「前立腺は膀胱のすぐ下にあるクルミ大の臓器で、精液の一部である前立腺液をつくるなど、生殖機能に関わる働きをしています。死者数は、米国では肺がんと1位を争うほど多い。日本でも年間1万人を超え、さらに増えてきています」(東京医科大学病院・泌尿器科の吉岡邦彦教授)

 かかりやすいのは50歳以上の中高年。現在、4万人という年間新規患者数が、'20年には7万8000人に倍増するとされ、男性では肺がんに次ぐ患者数になるとの予測もある。

「潜在がん」とも言われているように、前立腺がんの「始まり」には自覚症状はほぼなく、病気の進行もゆっくりしている。

「症状が出るまでに5~10年かけて、緩やかにがんになっていきます。近年、日本人に急増しているのは、食事の欧米化の影響が大きいと思われます。症状としては、排尿障害や排尿困難、頻尿などがあるが、それらは老化現象でも出てくるため、わかりにくいのです」(都立駒込病院・泌尿器科部長の篠原充医師)

 '02年、69歳で前立腺がんが見つかった今上天皇にも、自覚症状はなかったという。とはいえ、チェックはかなり容易だ。血液検査でPSA(前立腺特異抗原)の数値を見ればよいのだ。

「PSAは前立腺の細胞の中に入っているたんぱく質の一種です。細胞ががん化して組織が壊れると、出てくる。正常値は4以下で、4~10までがグレーゾーン。4人に1人はがんが見つかります」(前出・吉岡教授)

 再発・転移をしやすいかどうかの悪性度は、がんができる場所にはあまり関係しない。悪性度のチェックは、グリーソン・スコア(2~10までの9段階)という生検で調べることができる。スコアが5~6なら手術をすれば再発・転移の心配はまずない。つまり「助かりやすい」が、スコアが8~10だと悪性度が高く、「助かりにくい」のだ。

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