大研究シリーズ
部位別がんの始まりと終わり
「助かるがん」「助からないがん」「再発と転移」

(週刊現代)

 どこにできたのか。いつできたのか。その違いだけで助かるケースと助からないケースに分かれる。がんは残酷だが、死と向かい合わせの病だ。「敵」を知ることこそ、わが命を守ることにつながる。

 だが、幸いにも大動脈までは到達しておらず、左肺葉切除とリンパ節郭清かくせい(切除)の手術を受け、10日ほどの入院。自宅療養を経て、翌月には高座に復帰を果たした。左肺の3分の1を切除したにもかかわらず、以前のように張りのある声で語り続け、医者を驚かせた。

「抗がん剤が効いて、いまはがんは消えていますが、いつまた別のがんが出てくるか分からない。肺がんの手術をしてくれた先生が『あなたぐらいの年の人のがんは、白髪が生えてくるのと同じことだよ』と言っていた。『病気ではない』ってね。私も、なったものはしょうがないと思う。『病は気から』と言いますし。私は『がんという風邪をひいた』『冗談じゃない、仕事を頼んでくれた人がいるんだ』と考えています」

 いまは2ヵ月に一度の検診を受けつつ、元気に高座に上がっている。年配者に多い肺がん。貞水さんの付き合い方もヒントになるのではないだろか。

症状が出たときは余命1ヵ月

肝臓がん

 肝臓がんの死亡者数は、肺、胃、大腸に次ぐ第4位。その原因は、ほぼはっきりしている。

「肝臓がんの85~90%はC型肝炎かB型肝炎から進行したものです。つまりウイルス性肝炎が進行して起こります」(順天堂大学医学部・消化器外科学講座の川崎誠治教授)

 このがんが厄介なのは、発症部位の肝臓が「沈黙の臓器」だからだ。病気が進行していても、これといった自覚症状は出にくい。だから気付かれにくく、発見が遅れる。これが死亡者数を押し上げている。

 杏雲堂病院・消肝内科医長の佐藤新平医師が語る。

「肝臓がんの治療は、症状が出てからでは遅すぎる。症状が出たときには、余命1ヵ月というレベルです。だから自覚症状が出る前に腫瘍を見つけることが、治すための要件になる。腫瘍ができる場所は、肝臓の右上が最も多い」

 症状には、右上腹部の圧迫感、食欲不振、体重減少、倦怠感、疲れやすさ、微熱などがある。さらに進むと、腹水や黄疸も出てくる。

 俳優の緒形拳さん(享年71)は、'00年ぐらいから慢性肝炎を患っていたが、'03年ごろ肝臓がんに移行した。腹部の痛みを訴えて緊急入院したのが'08年10月。肝臓が破裂し、翌日息を引き取った。

 肝臓がんのステージは1~4で、ぎりぎり手術が可能なのは3期まで。肝臓ががんのために機能しなくなっている4期になると、手術は難しくなる。

「手術ができるのは、肝機能がいいことが条件になる。それなら5年生存率は50~70%。つまり、助かりやすい肝臓がんは、肝機能がいい状態の早期発見されたもの、ということです。

 ただ、肝臓がんで手強いのは、ウイルス性肝炎や肝硬変を合併しているケース。手術できないことが多いからです。実際、肝臓がんが見つかっても、手術が可能なのは3割ほどしかありません。また、肝機能が低下している場合、手術ができたとしても、5年以内に再発する可能性が80%もあるのです」(前出・佐藤医師)

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