大研究シリーズ
部位別がんの始まりと終わり
「助かるがん」「助からないがん」「再発と転移」

(週刊現代)

 どこにできたのか。いつできたのか。その違いだけで助かるケースと助からないケースに分かれる。がんは残酷だが、死と向かい合わせの病だ。「敵」を知ることこそ、わが命を守ることにつながる。

 出江医師によると、食道がんにかかった人は下咽頭がんにもなりやすく、退院後2~3年で発症ということもあるという。加瀬さんも5年間は定期検査に通い続けたが、再発はなく、現在は検査も受けていない。

「今後に対する不安は全然ない」と言い切る加瀬さんは 今年、バンド結成45周年にちなんで、45ヵ所ツアーをやる予定。この意気軒昂さが、順調な予後の理由の一つなのかもしれない。

肺がん

 年間約35万人の日本人が、何らかのがんにかかって亡くなっている。そのうち7万人(男性5万人、女性2万人)と最も日本人の命を奪っているのが、肺がんだ。

 肺がんの特徴は、年齢が上がるにつれて、死亡者数の割合が大きく増えていく点だ。国立がん研究センターの「最新がん統計」('09年)によると、40~44歳では、がん死亡者に占める肺がんの割合は10・8%にすぎない。ところが60~64歳では18・8%、80~84歳になると22・2%まで膨れ上がる。5人に1人以上が肺がん死なのだ。

「見つかったのはいまから8年前の60歳の冬です。例年この時期は千葉県いすみ市で1ヵ月合宿するのですが、この年はやたらと咳が出た。合宿後、日本プロの予選会に出たのですが、プレー中も咳が出て、我慢するのが大変なのです。必死で抑えていたが、5ホール目でギブアップ。病院に駆け込みました」

 こう語るのは、プロゴルファーの安田春雄さん(68歳)だ。
「肺がんの自覚症状は、長く咳が止まらなかったり、 風邪の症状が長引くことです。ほかに、一度でも血痰が出たり、レントゲンで肺に影が映るようなら、すぐに精密検査を受けたほうがいい」(東京医科大学病院・呼吸器甲状腺外科の大平達夫准教授)

 安田さんの咳も、まさにそれだった。ただし、最初の病院の診断は「花粉症」。「おかしい」と思い、改めて精密検査を受けたところ、肺がんが見つかった。安田さんが語る。

「そこに勤務している釣り仲間の僕の主治医が、CTを見て、『なんだ、プロ。これ、がんだ。もうダメだよ』と。4cm大ということでした。素人の僕が画像を見てもはっきりわかるぐらい、右肺の下のほうに大きな白い影があった」

初期でも「治らない」がん

 肺がんは、性質によって、腺がん、扁平上皮がん、小細胞がん、大細胞がんの4種に分けられる。

「最も多いのが腺がんで、肺がん全体の50~60%。次が扁平上皮がんの30%。小細胞がんが15~20%で、大細胞がんは5%ほどです」(前出・大平准教授)

 虎の門病院・呼吸器センター外科部長の河野匡医師によると、肺がんのステージは5段階。がんの大きさが2cm以下なら1期。以下2~3cmが2期、3~5cmが3期、5~7cmが4期、7cm以上が5期だ。

 4種の肺がんでは、小細胞がんが最も治療が難しい。聖路加国際病院・呼吸器内科の内山伸医師が言う。

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