大研究シリーズ
部位別がんの始まりと終わり
「助かるがん」「助からないがん」「再発と転移」

(週刊現代)

 どこにできたのか。いつできたのか。その違いだけで助かるケースと助からないケースに分かれる。がんは残酷だが、死と向かい合わせの病だ。「敵」を知ることこそ、わが命を守ることにつながる。

 1期なら5年生存率は90%。2期でも70~80%と高い。治療法はいずれも外科手術だ。3期はがんの状態により、手術と化学療法のいずれか、もしくは併用する。5年生存率は50%。4期になると手術は難しく、化学療法か放射線療法になり、5年生存率も急降下して9~10%。ここまで進むと助からない可能性が大幅に大きくなる。

「手術は開腹手術と腹腔鏡手術のいずれかです。転移がある場合、まず化学療法で転移したがんを小さくしてから臨みます」(前出・和田助教)

 浸潤や転移があると、がん細胞が他の部位まで広がる。浸潤とはがん細胞が体の組織内で増殖して他の臓器に広まっていくこと。胃の外側の膜から外に出て、近くの大腸や膵臓すいぞうに浸潤する。転移は血液やリンパに乗って他の部位で増殖を始めること。胃がんにおいて最も多いのがリンパ節転移である。

 こうした転移、そして待ち受けている「死」もまた、胃がんの「終わり」と捉えることができる。

 2期までなら助かる率は圧倒的に高いのだから、自覚症状に頼らず、定期的な検査が何より重要だ。

「タチの悪い」がん

食道がん

 胃がんほど患者数は多くないが、いままで赤塚不二夫さん、岡田真澄さん、藤田まことさんなどの著名人が食道がんにかかっている。桑田佳祐もこの病魔に襲われ、闘病していたのは記憶に新しい。

 食道がんのステージは、がんの大きさや形、深さ、リンパ節への転移の程度、遠隔転移などの状況によって1~4期まである。5年生存率は1期が90%、2期が60%、3期が30%、4期が10%程度だ。

 症状としては、食べ物を飲み込むときにしみる、食べ物がつかえる、咳が出る、声がかすれるなど。ひどくなると呼吸困難、背中などの痛みが出ることもある。「ただし」と注意を促すのは、都立駒込病院・食道外科部長の出江いずみ洋介医師だ。

「症状が出たときには、もう『遅い』というケースもあります。食道がんは治療が難しい『タチ』の悪いがんのひとつなのです」

ほかの消化管臓器と異なり、食道がんは周囲に浸潤しやすく、それだけ進行も速い。そのため、「助かりやすい」食道がんとは、「早期発見」と「まだ転移していないこと」が、条件になる。

「酒量は手術前後で変わってないです」(加瀬さん)

 早期だと自覚症状がほとんどないというのが厄介だが、53歳のときに食道がんが見つかったという「ザ・ワイルドワンズ」リーダーの加瀬邦彦さん(70歳)も、やはり自覚症状はなかったという。

「最初は胃が重かったので近くの行きつけの病院に行ったのです。胃カメラを飲んだら、胃潰瘍が2つと、喉の小さなポリープが見つかった。病理検査に回したところ、1ヵ月ほど経ってから病院に呼び出され、『食道がんです。女子医大に食道がん手術の得意な先生がいるので、いまから電話しますから』と。喉の自覚症状は皆無でした。女子医大で手術を受けたのですが、2期で、リンパ節にも6ヵ所の転移がありました」

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