大研究シリーズ
部位別がんの始まりと終わり
「助かるがん」「助からないがん」「再発と転移」

(週刊現代)

 どこにできたのか。いつできたのか。その違いだけで助かるケースと助からないケースに分かれる。がんは残酷だが、死と向かい合わせの病だ。「敵」を知ることこそ、わが命を守ることにつながる。

 どこにできたのか。いつできたのか。その違いだけで助かるケースと助からないケースに分かれる。がんは残酷だが、死と向かい合わせの病だ。「敵」を知ることこそ、わが命を守ることにつながる。

腰痛が終わりの始まり

胃がん

 発見から死までがあまりに急で、驚いた方も多いのではないか。女優・萬田久子(53歳)と事実婚の関係にあった大手アパレルメーカー「リンク・セオリー・ジャパン」社長・佐々木力さん(享年60)を襲った、スキルス性胃がんである。

 佐々木さんが腰の痛みを訴えて診察を受けたのは、ちょうど還暦を迎えた今年3月末のことだった。本人は尿管結石ではないかと疑っていたが、6月の再検査でスキルス性胃がんが発見された。

 すぐに抗がん剤治療に入ったが、7月中旬には昏睡状態に。結局、そのまま意識は戻らず、8月9日に亡くなった。最初の検査からわずか4ヵ月。まさに「あっという間」の死だった。

 胃がんにかかる日本人は年間10万人、亡くなる人は5万人もいる。

 1998年以来、死亡者数の1位・2位は、肺がん・胃がんの順で不動だが、患者数では胃がんがトップをキープしている。その胃がんの中でも最も怖いのが、佐々木さんがかかったスキルス性胃がんなのだ。

 慶応義塾大学医学部一般・消化器外科の和田則仁助教が解説する。

「胃がん全体の約1割を占めるスキルス性胃がんは、残念ながら『助かりにくい』というより『助からない』がんということになります。他の胃がん同様、胃粘膜から発生しますが、あまり粘膜面の変化を起こさないまま胃壁の中に広がっていくため、診断がつきにくいのです。したがってスキルス性胃がんの『始まり』は非常にわかりづらい。やがて胃壁全体が硬くなってスキルス性胃がんであると判明することが多いのですが、その時点ではもう治療は難しい状態に陥っている。スキルス性胃がんの『終わり』は、死に至るということです」

 元アナウンサーの逸見政孝さんが倒れたのも、スキルス性胃がんだった。歩けないほどの腰痛を訴えて入院したのが'90年。原因がわからないまま、「疲労性の腰痛」ということで済ませて職場復帰した。

 ところが'93年1月にがんが発見されて再入院。それから341日後に亡くなっている。

 では、このタイプ以外の胃がんはどうなのか。

 胃がんを引き起こすリスクファクター(危険要素)は、ピロリ菌と塩分の取り過ぎとされる。逆流性食道炎をもつ人や喫煙者も、リスクが高いという。

 胃がんの「始まり」、つまりその自覚症状としては、胃痛、胸やけ、黒い便などがあるが、早期の段階ではその症状が出る人もいれば出ない人もおり、ステージ(進行度1~4期)によって助かる率が大きく変わってくる。

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