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急げ!株・投信・債券「万事休す」になる
外貨預金は即解約を
〔PHOTO〕gettyimages

危険な投資信託

 アメリカには何百億円、何千億円という大金を稼ぐスター・ファンドマネージャーがいる。彼らがメディアで騒がれるほどの大儲けを演出するのは、決まって「大混乱相場」が訪れたときだ。

 2008年のリーマン・ショック時でさえ、ジェイムス・サイモン、ジョン・ポールソン、そしてジョージ・ソロスらの面々が大損を被る投資家たちを横目に「危機を予測した相場張り」に成功、1000億円以上の報酬を手に入れた。ただ今回の世界同時株安では「大儲けしたスター」の名前が聞こえてこない。

「いま多くのヘッジファンドが金融工学で綿密に計算されたプログラムにもとづき、自動売買・ロボット売買を行っている。コンマ1秒でも早く売買することを狙って高速化を目指したためだが、これがアダになった。プログラムには株価が一定の下落幅に達すると損切りするルールがあり、今回は相場下落のスピードが早かったためこのラインにすぐに抵触、売りが売りを呼ぶパニックに陥った」(米国のマーケット事情に詳しいS&S investments代表の岡村聡氏)

 プロ中のプロでもやられる"高速相場"。さらにグローバルにつながったマーケットが一瞬にして連鎖、世界同時多発的に「暴落」の嵐が吹き荒れる"恐慌相場"の時代がやってきたわけだ。言うまでもないが、素人がやすやすと勝てる"戦場"ではない。

 自分には関係のないことと思わないでほしい。たとえば日本人に人気の高い投資信託は様々な国、銘柄にカネを振り分けて運用している商品。その投資先のいくつかが暴落すれば、おのずと投資信託の値段(基準価格)も引きずり落ちる。関係ないと思っていた遠い国の株暴落が、あなたの持つ投資信託を"紙クズ同然"にする可能性もあるのだ。

 ではいま、どんな商品を持っていると危険なのか。マネーのプロたちに「逃げ方」を聞いてみよう。

 まずは投資信託。

 今回の同時株安を受けて大きく値下がりした投信を見ると、ブラジルや南アフリカなどの新興国株で運用するものが目立つ。先進国の景気減退で、輸出が減少すると見られたからだ。

 エコノミストの中原圭介氏は、次のような投信は「手放すべき」と警鐘を鳴らす。

「いまブラジルの通貨や債券で運用する投信の人気が高いが、これは危険域に入っている。ブラジルはアメリカの住宅バブル時と同様の借金経済で成り立っていて、実はブラジル人の家計の可処分所得の20~30%は借金返済に回されている。いままでは資源価格が高かったので帳尻が合っていたが、この価格がもとに戻ればバブルが破裂しかねない」
中国、インド関連の投信も勧められないという。「過剰なインフレをおさえるための金融引き締め」が必至で、いままでのような高成長が望めないからだ。

 ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏は、新興国などの格付けの低い債券(ハイイールド債券)で運用されている投信は「早めに売ったほうが無難」と言う。
「少し前までは分配金の利回りが良かったので人気が高かった商品だが、今後は期待できない。世界経済の『二番底懸念』が渦巻いている中で、プロの投資家たちは格付けの低い債券からマネーを逃がしているからだ。すでに分配金を減額する投信も出てきた。今後しばらく世界的に景気が低迷すると考えれば、早目に売るのが無難です」

 日本人の投資信託人気に火をつけたグローバル・ソブリン・オープン、通称「グロソブ」。こちらは先進各国の債券で運用している商品だが、折からの超円高の影響を受けて史上最安の基準価格を更新している。

「グロソブが設定された1997年以来、格付けの高い債券は一貫して金利が下がり、いまも底での膠着状態が続いている。これ以上下がらない水準まで下がっていることを考えれば、債券価格の急激な上昇はもう期待できない。さらに多くの先進国が自国の通貨安誘導を続けているため、円高・外貨安で為替差損が発生する。こう考えると、グロソブのような外債ファンドは一時代を終えた商品といえるだろう」(金融評論家の角川総一氏)

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