高橋洋一「ニュースの深層」
カテゴリーアイコン

「基礎年金」財源問題で大騒ぎするメディアはまたまた財務省に騙されている

消費税引き上げの前にまだまだある埋蔵金をはき出せ

2010年12月06日(月) 高橋 洋一
upperline

  今公開中の映画「武士の家計簿」を見た。加賀藩の「御算用者」(現在の県財政課職員)の物語だ。一家の財政が窮地に陥り、それを立て直す時に、家にある資産の売却から手をつけた。そのことにより家の内外に危機を明らかにしてから再建を試みた。地方武家と国家財政では話のスケールも違うが、この手法は大いにうなずくところだ。

 そういえば、財政再建に取り組み英国では空母もネットオークションに出されるという話もある。米国でも財政再建の時にはしばしば政府資産がオークションサイトで売却されている。

 一方、日本では資産の切り売りの話はなかなか出てこない。たとえば年金問題。

 五十嵐文彦財務副大臣は11月29日午後の会見で、2011年度予算編成で焦点のひとつである基礎年金国庫負担割合の2分の1への引き上げ財源2.5兆円の財源捻出が難しい状況であることを明らかにした。

こうした政治家を裏で操っているのは財務省事務方だ。「どう考えても財源が無い以上、この案が一番自然な解決法だ」と財務省幹部は、国庫負担率引き下げを提案した事情を説明する。この事務方の方針にそって、厚生労働省と財務省の政務官調整において、財務省が厚労省に2011年度については国庫負担割合を36.5%に戻すことを提案した。

 もともと04年、基礎年金の国庫負担率を09年度から2分の1引き上げられることとなったが、その際の前提が、消費税増税など税制抜本改革による安定財源の確保だった。09、10年度は埋蔵金の捻出で何とか凌いだが、11年度はもうないというのが財務省のスタンスである。しかし、これは国民が関心をもつ年金を人質にとって、消費税増税に持ち込みたいのだろう。財務省の本音は、もう埋蔵金探しをやめにしたい。冒頭述べたような資産売却という話は出てこない。

 なにより注意すべきは、財務省のいう「埋蔵金」とは、数ある特別会計のうち財政融資特別会計での資産超過額だけだということである。これは、ここ数年間も「存在しない」といいながら、そのたびに指摘すると20数兆円も捻出してきた。今後は毎年1兆円程度貯まるであろうが、とりあえず「ない」としておこう。しかし、埋蔵金はまだまだあるのだ。

ほかの特別会計、たとえば、厚労書所管の労働保険特別会計には、数理に基づいた保険料が設定されていないために、無駄使いをしてもなお「埋蔵金」が5兆円程度ある。

 

次ページ  さらに、同じ年金の中にも埋蔵…
1 2 3 次へ

このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
関連記事


underline
アクセスランキング
1時間
24時間
トレンドウォッチ
編集部お薦め記事