田原総一朗VS馬淵澄夫対談 Vol.3
「所得が増えれば子供も増える。生涯現役でタックスペイヤーに」

vol.2はこちらをご覧ください。

デフレ脱却で景気は回復する

田原: 馬淵さんが代表になり総理を目指すのは、経済を良くしようということですね。デフレ脱却ということだ。

馬淵: 第一にデフレ脱却と景気回復ですよ。今政治に求められているのはそれじゃないですか。

田原: 増税をしないと言うだけだと、やや消極的ですよね。国民が求めているのは景気が良くなることです。

馬淵: 景気が良くなって所得が上がりだしたら、失業問題も解決しますし、若年雇用の問題だって解決するんですよ。よく将来の不安からの買い控えみたいな話や、社会保障制度が不十分だから景気が悪くなっているんだなんて話がありますけれど、そうじゃないです。

 統計的なデータを見てもそれは違います。明らかに所得の向上と景気回復によってさまざまな消費が発生するんです。総需要はそこで生まれますから。

 高度経済成長とまでは言いませんよ、急激に伸びるなんて言いません。ですが、持続可能なゆるやかな経済成長を望むのは当たり前のことなんですよ。国家のリーダーたる者は、それを前面に出さなくてはいけない。

田原: そこなんです。新聞なんかでも馬淵さんというと増税反対の主張しか表に出ないんですよ。でもやっぱり、デフレ脱却、景気回復が重要だと。

馬淵: 私は商売人の出なんですよ。サラリーマンをやったあと、中小企業のおやじを経て政界入りしたんです。メーカーの経営者として会社経営の経験があるのですが、私の根本はそこなんです。

 政治の勉強をしたこともなければ、だれかの秘書を務めた経験も県会議員や町会議員の経歴もなしです。私が知っているのは経済の現場です。生きている経済をこの手で触ってきました。そこに成長があり、そこに喜びがあり、そこに未来があるんですよ。この国のリーダーはそれを語らなきゃダメなんです。

田原: 今、日本は円高で大変だと新聞が書いているけれど、トヨタにせよホンダにせよ大企業は海外に工場を展開しているので大変なわけではない。国内の中小企業がいちばん大変なんですよ。日本全体の企業で言えば、全体の97%は中小企業ですよね。これをどうするかという問題についてはどうお考えですか。

馬淵: 円高是正のためには、先ほどから申し上げているデフレ脱却、すべてはそこに行き着くんですね。中小企業の問題では、いろいろなインセンティブを与えるという話が出てきて、経済産業省もいろいろやってきましたけれど、実はいわゆるターゲティング政策は本当に正しいのかという疑問が、正直言って私にはあります。

 政府はむしろ、官僚と大企業がつくり上げてきた、市場を雁字搦めに縛っている規制を一旦全部切っていって、中小企業が自由に参入できる場を増やしていくというのが、いちばん効果的じゃないかと思います。

田原: やはり、中小企業と比べて大企業のほうが条件的に恵まれていますか。

馬淵: たとえば、今いちばん自由に伸びている企業体といったら、IT・WEB系とラーメン屋だと言われているんです。WEB系は規制がないですから、いくらでもどんどん新しい商売が生まれるんです。ラーメンもある意味、それこそ新しいことをやりたいという人たちがどんどん参入してきて、いろいろな知恵をしぼってつくり出しているわけですよ。

 それも、昔ながらの中華ラーメンじゃなくて新しいラーメン、たとえば魚介ダシととんこつスープを合わせたダブルスープとか、自分たちで考えた特別な麺を自製したりとか、ある意味アントレプレナーがラーメン業界にどっと参入してきている。

 業界の調理師の組合だとか何だとか、細かい事情にとらわれない独立系のラーメン屋さんがバンバンできて、それに長蛇の行列ができて、通販なんかで自分たちが販売して利益を上げています。ですから、今元気でやっているのはWEB系とラーメン屋だというのは、規制がないからなんです。ターゲティング政策よりも、もう一度ちゃんと規制を見直すことが重要だと思うんですよ。

 ただ、小泉さんのときに外資規制をバーンと外して、海外からどっと外国資本が入ってきたということで、あのときは耐性や抵抗力がなかったので一気にやられてしまったようなイメージがあります。ですから、規制の外し方や緩和の仕方も考えなければいけないですが、私は政府がやれることは土俵づくりであると考えています。これをやれ、あれをやれ、なんて国が示したところで、まともにうまくいった例なんかないんじゃないかと思います。

田原: 小泉さんの政策で欠点があったとすれば、セーフティネットが足りなかったことですね。

馬淵: そうですね。最悪のことを考えたセーフティネットは必要でしょう。それから、規制改革という意味においては、緩和と強化というふうにある程度硬軟は取り混ぜなければならないかもしれません。

 ただ私は、規制を取っ払うというだけではリーダー像として国民が安心してついていけないだろうな、とも思います。もう少し国家像のイメージを持ってもらうためには、エネルギー政策を特化してやるぞ、という姿勢は必要だと思っています。安心してエネルギーが得られる社会、あるいは安定してエネルギーのコストが下がる社会というのを見せなければならない。

 もう一つイメージとして持っている国家像というと、「生涯現役国家」というのが私の持論なんですよ。

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