"ソーシャルグッド"非営利SNS「JUMO」の営利メディア企業「GOOD」による"救済合併"が意味すること
Jumo 創業者 / CEO クリス・ヒューズ氏(写真:Getty Images )

 本コラムをお読みの方であれば社会をよくするために個人とNPOをつなげるSNSサイト「JUMO」(ジュモ:西アフリカの言語であるヨハル後で「一緒に調和して」という意味)を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

 フェイスブックの共同創業者、オバマ大統領選挙のオンライン・キャンペーン・ディレクターの経歴を持つクリス・ヒューズ氏(27)が昨年11月末にスタートしたチャリティ・プラットフォーム・サイトは、創業者のそれまでの知名度、そして「ソーシャルメディアが世界を変える」ことへの期待も込めて、ニューヨークタイムズ、CNN等主要メディアでも取り上げられる大きなニュースでした。

 その「Jumo」が、「社会をよくする」ことに特化したメディア営利企業「GOOD」に吸収(acquire)されるというリリースが8月17日に発表され、ニューヨークタイムズFastCompanyクロニクル・オブ・フィランソロフィー等でも取り上げられ、同じく大きな話題を呼びました。

 GOODの共同創業者/ CEOのベン・ゴールドハーシュ氏は公式ブログ記事でこう言っています。「私たちの進化のための大きな一歩である。(中略)メディアをコミュニティが、そしてコンテンツを行動が、それぞれ補完するための力を統合するためにJumoを吸収した。(中略)1足す1が3に、いや、それ以上になるのです。」

営利企業が非営利団体を吸収するということ

 「GOOD」による買収額は開示されていないものの、オンラインサイト「BETABEAT」は、「Jumoは対面を保つためにタダで"救済合併"された」(Jumo ‘Acquired’ for $0 and a Graceful Exit) と報じ、ビジネスとチャリティの新しいあり方に興味を寄せる多くの人に、驚きと共に考える機会を提供しています。

 というのも、2010年3月に設立したJumoには、フォード財団、オミディア・ネットワーク(eBay創業者による財団)、ナイト財団から合計350万ドル(約2億7千万円弱)の助成金を受けており、その組織が営利企業に「吸収」されることの是非等が議論を呼んでいるからです。Jumoの名前は消えるものの、シニア・アドバイザーとしてGOODに参画するヒューズ氏曰く、「全ての出資財団、そしてJumoのボードメンバーは今回の決定に対し理解を示し、支援してくれている」と語っています。

GOODのホームページ

 Jumoはスタート直後には米国内の月間ユニーク訪問者数が11万4000だったのに対し、この6月には僅か8,500と、残念ながら思っていたようにトラフィックを集めることが困難であったと言わざるを得ません。登録ユーザー約100万人と、1万5千人もの登録NPOに関するデータは、この秋に統合されるGOOD のサイトに活かされるとされていますが、よいシナジーが生まれることを願います。Jumoの現在の16人の従業員は新しい雇用主での面接の機会を与えられるとのことです。

 GOODは、ヒューズ氏とアメリカの名門寄宿学校(フィリップス・アカデミー)同窓の友人であり、雑誌「インク」創業者を父親に持つゴールドハーシュ氏らが2006年に立ち上げたメディア会社です。社会をよくすることをテーマにした洗練されたコンテンツ、デザインは高く評価されており、トヨタ、スターバックス、ペプシ等一流企業に対するマーケティング支援のビジネスも新しい収益源として成長中の総合メディア企業です。

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