世界経済
米国経済は"スタグフレーション"の入口にある。
当面、ドル安傾向は変わらない

最近、米国経済の先行きが一段と不透明感を増している〔PHOTO〕gettyimages

 最近、米国経済の先行きが一段と不透明感を増している。住宅市場は依然低迷が続いており、失業率も高止まりしており家計を取り巻く経済環境の改善は遅れている。企業業績全般にも少しずつ伸び悩み傾向が出ており、企業部門の景況感にも陰りが見え始めている。それに伴い株式市場は不安定な展開が続いており、それは実体経済にもマイナスの影響を与えることが懸念される。

 一方、物価水準は、ガソリンや一部食糧品の価格が上昇傾向を辿り始めている。7月の米国の消費者物価水準をみると、前年対比で3.6%上昇しており徐々に家計部門の購買力を低下さえることが考えられる。今後、こうした状況が続くようだと、景気の低迷に加えて、物価上昇が家計部門を苦しめる"スタグフレーション"が本格化することが予想される。

経済全体に厳しい条件となる"スタグフレーション"

 "スタグフレーション"とは、景気停滞、あるいは低迷を表す"スタグネーション"と、物価上昇を意味する"インフレーション"の二つ経済現象が起きることを意味する。二つの現象が同時に起きるので、"スタグフレーション"という。

 実は、政策当局にとって、"スタグフレーション"の対応策は難しく、扱いが厄介な経済現象である。本来、景気が悪いのであれば、モノを買う人が少なくなりやすいため、物価水準は下落するのが通常だ。ところが、穀物やエネルギー資源の価格が世界的に上昇しているため、それに関連した商品等の価格が上がってしまうのである。

 "スタグフレーション"は家計にとってかなり厳しい経済状況だ。景気が低迷する為、お給料は上がらず、失業するかもしれない。その一方、モノの値段が上がるのだから、家計は一段と苦しくなる。一方、企業にとっても、一般的に"スタグフレーション"は好ましい状況ではない。エネルギー等の価格上昇で、生産コストが上昇するからだ。それをすべて価格に転嫁できればよいのだが、景気の悪化によって価格転嫁が難しいと、企業の業績にマイナスに作用するからだ。

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