沖縄を訪ねて
新首相は「普天間基地移設」「沖縄振興新10ヵ年計画」に正面から取り組まなければならない

仲井真知事〔PHOTO〕gettyimages

 先週沖縄に行って、仲井真知事と会談したり、那覇や嘉手納やうるまで活躍する地方議員と意見交換をしたりした。また、アメリカのグリーン総領事とも懇談する機会を持った。

 今回の議論のポイントは二つ。第一は、言うまでもなく、普天間基地移設問題である。第二は、沖縄振興新10ヵ年計画である。

 まず、危険な普天間基地を移設する問題は、自民党政権が16年かけて何とか一つの解決策を見出した。それが、辺野古への移転案である。しかし、「最低でも県外」と総選挙で訴えた鳩山由起夫氏が、政権交代で首相になると、沖縄県民の期待は高まり、県外移設が実現するかのような雰囲気となった。

 ところが、中国の海軍力拡張など日本周辺の緊張が高まっているため、戦略上重要な地点にある沖縄の基地の重要性は増している。米軍再編という課題に取り組んでいるアメリカも、いつまでも結論の引き延ばしを容認するはずはない。オバマ政権の支持率は下がり、債務危機に見舞われたアメリカは、普天間の固定化という選択肢もちらつかせている。

沖縄県民を硬化させた民主党政権

 民主党政権は、普天間の県外移設を諦め、結局は辺野古案に回帰したが、この2年間で沖縄県民の世論はすっかり変化し、もはや県外以外は受け付けないほどに硬化してしまった。仲井真知事や沖縄自民党ですら、「最低でも県外」という主張をせざるをえなくなっている。とくに、来年6月には沖縄県議会の選挙があり、候補者は辺野古など口に出せば落選するという状況になっている。

 しかし、日本の安全保障、沖縄県民の平和な生活、世界の警察官としてのアメリカの役割という三つの課題をバランスよく満足させる答えを見つけ出すのが政治の仕事である。鳩山、菅と二代続いた民主党内閣は、この仕事に成功していない。政府は、沖縄の負担を軽減する道をもっと模索する必要がある。

 アメリカ側も、問題解決のタイムリミットは年末とほのめかしているが、さらなる柔軟性を求めたいところである。

 日本の政治指導者は、沖縄県民との信頼関係を築く努力を常日頃から心がけておかねばならない。鳩山前首相の失敗は、その信頼関係を根本から覆したところにある。

 沖縄振興計画は、来年度から新たな10年間に入る。沖縄は、一括交付金3000億円を要求しているが、震災復興などの課題もあって財政事情は逼迫しており、要求がそのまま認められるか否かは、まだ不明である。

 これまで、沖縄開発、沖縄振興と言えば、箱もの作りに終始してきたきらいがある。市民ホールなどの箱ものは、利用者が少なくても維持管理費はかかってしまう。地元自治体には、かえって重荷となりかねない。

 それよりも、たとえば、研究教育機関を誘致して人材を育成したほうがよい。そのためにも不可欠なのが、規制緩和である。沖縄全体を特区にして、霞が関の規制から解放して、のびのびと創意工夫ができるようにすべきである。そうすれば沖縄の可能性が増えていく。

 以上述べてきたことに正面から取り組むのが、月末にでも選出される新首相の仕事である。沖縄問題一つをとっても、問題の根は深い。

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