歳川隆雄「ニュースの深層」
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首相秘書官も官房副長官も機能不全で菅官邸は「危機管理能力ゼロ」

過去の危機対応マニュアルもいかせず

2010年12月04日(土) 歳川 隆雄
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2010年11月25日 朝日新聞

 菅直人"民主党"政権は、危機管理のうえで行き詰っている。首相官邸の外交・安保面での拙さと民主党執行部の野党対策のお粗末さが「政権の危機」を招き起こした。

 先ず、官邸から。11月23日午後に発生した北朝鮮軍による韓国北西部・延坪島砲撃事件における官邸の初動対応の稚拙さについては、朝日新聞に「空白の90分」と報じられた。

 官邸地階にある内閣危機管理センターに第一報が入ったのは、北朝鮮人民軍砲撃部隊が砲撃を開始した午後2時34分から約30分後の午後3時10分過ぎだった(情報源は防衛省統合幕僚監部情報本部と思われる)。仙谷由人官房長官が内閣危機管理センターに情報連絡室の設置を瀧野欣彌官房副長官(事務担当)に電話で指示したのは3時20分。

 決して遅い対応ではない。だが、当日は祭日だったため、公邸にいた菅首相に事件発生が山野内勘二首相秘書官(外務省出身)から寄せられたのは午後3時30分ごろ。首相が公邸から官邸に移り仙谷官房長官らと協議を開始したのが午後4時44分だった。

 だが、同首相は公邸待機中に誰に電話することもなく、また誰からも詳細の報告がなかった。それだけではない。その後、安全保障会議(議長・菅首相)を召集していない。

 問題は、二つある。ひとつは、首相の政務秘書官がまったく機能していないことである。現在の岡本健司首相秘書官(政務担当)は、菅首相が野党・新党さきがけ時代の党職員である。第一期民主党(所謂「鳩菅民主党」)を経て現在の民主党まで一貫して"菅担当"の党職員プロパー出身者なのだ。残念ながら同氏は、官邸周辺で「カバン持ち兼ボディガード」と揶揄されているのが実状だ。

 小泉純一郎政権下の2001年の「9・11同時多発テロ」発生時のエピソードを知れば、首相秘書官(政務担当)に何が求められているかが分かる。

 当時、「もう一人の官邸の主」とまで言われた飯島勲首相秘書官(政務担当)は事件発生(日本時間・9月11日午後9時45分)直後、その日の所在を掌握している主要閣僚と自民党役員に緊急連絡・概要説明し、官邸内に設置した対策本部に何時でも出動できるようにして欲しいと、首相指示を伝えていた。

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