「難問」年金問題にも政治主導を発揮できない菅政権
消費税引き上げだけが解決策ではない
〔PHOTO〕gettyimages

 難問山積の菅直人政権に、また一つ難題が持ち上がった。基礎年金の国庫負担割合を2分の1に維持するための財源にメドが立たないのだ。

 基礎年金の国庫負担割合は2009年の国民年金法改正で、国庫負担割合をそれまでの36.5%から2分の1、すなわち50%に引き上げた。ただし恒久的な財源がなかったので、09年度と10年度については臨時の措置として財政投融資特別会計の埋蔵金を活用して、引き上げた国の負担分を賄ってきた。

 ところが11年度はいよいよ埋蔵金も枯渇する。さてどうするか、という問題である。

 財務省が考えた案はカネがないなら、いったん国の負担割合を元の36.5%に戻す。ただし家計が負担する年金保険料を引き上げずに済むように、年金特別会計の積立金を臨時で取り崩す。

 そのうえで将来、増税が実現したときには利息分を含めて穴埋めする、というものだ。

 これに対して、厚生労働省はあくまで50%の国庫負担率を維持するよう求めている。といって、厚労省はどうやって財源を手当てするか、具体的な対案を示しているわけではない。

 この問題は突然、降って沸いてきたように感じるかもしれないが、そうではない。

 先に述べたように、09年の国民年金法改正のときから恒久財源がないのは分かっていた話である。2年度限りの「一時しのぎ」ながら埋蔵金で手当てしていたから、問題が先送りされていただけだ。

「月額7万円の最低保障年金」をうたっていたが

 そもそも民主党は年金問題について、なんと言っていたか。

 09年総選挙の政権公約(マニフェスト)は「年金制度を一元化し、消費税を財源とする月額7万円の最低保障年金を創設する」とうたっていた。

 それから1年過ぎたが、この間に年金制度の一元化や最低保障年金創設について進展がなかったばかりか、既存の制度に埋め込まれていた財源の空洞化をどうするかについても議論はなかった。

 政権を奪取してから、民主党は1年間を無為に過ごしたのである。

 予算編成を控えた年末が目の前に迫ってきて、事務方の財務省がしびれを切らせて「それなら、いっそ国庫負担割合を元に戻してしまえ。ついでに不足分は積立金を使ってしまえ」と腹をくくった感じである。

 言うまでもなく、年金の積立金は将来の年金給付の原資である。それに手をつけて、もしも穴埋めが実現しなければ、当然ながら将来の給付減額は避けられない。

 財務省の本音を解説すれば「こういうことになるのも、みなさんが消費税引き上げに反対するからですよ。年金の受取額を減らしたくなければ、増税に賛成するしかないですよ」という話である。

 この問題をどう考えたらいいか。

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