メディア・マスコミ
日本に必要なのはウィキリークス 記者クラブ体質からの脱皮が迫られる
「内部告発冬の時代」が続く

 スウェーデンなどに拠点を置く内部告発サイト「ウィキリークス」が再び世界的注目を集めている。同サイトが入手した情報に基づき、欧米の主要印刷メディアが一斉に秘密扱いのアメリカ外交公電を掲載したからだ。

 米ニューヨーク・タイムズは11月29日付の1面トップで「流出した外交公電、アメリカ外交の内側を赤裸々に」との大見出しを掲げ、イランの核問題など公電内容を分析。さらに中面で合計4ページを使い、関連記事で埋め尽くしている。

11月29日付のニューヨーク・タイムズ。1面の半分以上を「ウィキリークス外交公電」記事で埋めている

 25万件に上る外交公電の流出元について、同紙は紙面上では「もともとはウィキリークスだが、われわれは独自の情報源から匿名を条件に入手した」と説明している。

 だが、その情報源はすぐに判明。ウィキリークスから直接情報提供を受けた英ガーディアンだった。

 ホワイトハウスは不快感を露わにしている。外交関係を損ねかねない情報が満載されているからだ。

 公電内容がインターネット上に流れ始めた11月28日付の声明では「盗み出された秘密文書を暴露することで、ウィキリークスは基本的人権の原則を踏みにじるばかりか、人命を危険にさらしている」などと糾弾している。

 アフガン戦争秘密文書、イラク戦争秘密文書、アメリカ外交公電---。「権力のチェック」を標榜するウィキリークスを媒介にして内部告発者が印刷メディアとつながり、権力側に衝撃を与えている。「内部告発者VS権力」の力関係が変わってきたようだ。

 内部告発が勢いを増すことについては賛否両論ある。だが、日本にとってはプラスかもしれない。長らく「内部告発冬の時代」が続いてきたからだ。注目を集めた事件をいくつか振り返ってみる。

 まずは1972年の「西山事件」。日米間の沖縄返還協定をめぐる密約の存在が焦点で、内部告発者は外務省の女性事務官だ。ただし、彼女は自主的に内部告発したのではなく、毎日新聞記者の西山太吉に促されて結果的に内部告発した格好になっている。

 西山は女性事務官経由で、秘密電信文のコピーという決定的証拠を手に入れる。毎日の紙面上で、一大スクープを書くチャンスを得たわけだ。ところが、小さな扱いの記事にしてしまう。