渡部恒三元衆議院副議長「原発の安全神話を疑いもしなかったことは反省する。ポスト菅政権はこの国難に挙国一致であたれ」

渡部: 行政というのは法律に則ってやる。その次は先例に則ってやる。3月11日に起こった東日本大震災に私は「千年に一度」という大災害だと思っていましたが、それより凄い「万年に一度」あるか無いかという災害でした。こんな大災害には先例が全くない。役人というのは「この問題をどうしようか」というとき法律もない、先例もないということで対応が遅れた。

 災害対策で法律を作るということはあまりないことですが、政府としても随分法律を作って対応に明け暮れたということです。

 私は予算委員会で質問に立ち「民主党はもちろん、自民党から共産党まで大震災で苦しんでいる人たちのために命をかける。そのためには与党も野党もない」と訴えました。

 それが国会議員の胸に響いたのか、第一次補正予算案は満場一致で可決成立しましたし、震災復興のための法律はほとんど満場一致でした。永い国会議員生活の中でも「満場一致」というのはほとんど無い。これはありがたいと思いました。

 大震災当初、「法律がない」「先例がない」ということでもたもたしましたが、後半からは野党の諸君の協力を得て関係法を成立させることによって震災復興も着実に動き出したのです。

菅総理は思いつきが多く大震災対応も後手後手に周り、国民の支持率も低下していった。

 6月2日に行われた「菅内閣不信任案」採決の時、小沢一郎君が子分達を連れて不信任案に賛成するという動きがありました。小沢君は70~80人の子分達を引き連れて動けば不信任案は可決されてしまう。そこで鳩山由起夫君が間に立ち「一定のメドが付いたら辞任する」という了承を取り付けました。このことによって小沢君らは振り上げた拳を降ろすことにして矛を収め、不信任案は否決され事無くを得ました。

「菅内閣不信任案」を採決する衆議院本会議前に民主党の代議士会が開かれた。菅君が冒頭に演説し誰が聞いても「総理を辞任する」と聞き取れた。鳩山君が菅君に斡旋して総理を辞めると言うことだった。菅君の言葉にほとんどの国会議員やマスコミ、国民も含め「総理辞任だ」と思いこんでいた。

 にもかかわらず菅君は「総理を辞めるとは一言も言っていない」と開き直り総理の席にしがみついてしまう。菅君に欺されたと知った鳩山君は「詐欺師だ」「ペテン師だ」と菅君に怒りをぶっつけた。

 菅君は頭がいいのか策士なのか。鳩山君と取り交わした文章や民主党代議士会での演説をよく見ると「辞める」とは一言も書いてないし、いってないんだなあ・・。

 菅君のその後の居座りで国の政治がおかしくなっていく。菅君が総理の席に留まっている間中、「菅総理のいうことは信用できない」と国民の政治不信は強まっていきました。

 次に「内閣不信任案」が出されたら今度は小沢君だけでなく私も賛成に回るつもりだった。そうなった時、菅君がヒステリーなんかも起こして「解散だ!」なんてことになったら、総選挙で民主党は100人くらいになっちゃう。大惨敗だよね。菅君が言う「総理辞任」の3つのメドである第二次補正予算は上がった。公債特例法と再エネ法も今月中に上がりそう。メドが付きそうになったことで菅君がやっと総理を辞めるといいだした。まあ、解散総選挙が無くなってホットしたと言うところですよ。

 岡田幹事長ら民主党執行部は菅君を降ろすために野党に言われ「09年マニフェスト」の旗を降ろしつつある。このことに内外から批判があります。

 だが、この批判はチョット違うかも知れない。私は45年の永い国会議員生活の中で30年間は自民党議員。大臣や幹部としても活躍してきました。自民党政権時代、自民党が選挙の公約を100%守ってきたかというと、そんな例はない。公約というのは「こういう政策をやりたい」という思いで造るもの。100%実現できるなら簡単でしょうが、結果的に公約の60~70%も出来ればいい方でしょう。財政的なことなどいろいろあってなかなか実現できなかったなあ・・・。

岡田君らの野党交渉で今度、民主党政策の目玉たった「子ども手当」が。自公政権時代の「児童手当」へ移行するという。

 少子高齢化が進む日本にあって若い人が子供を作り、育てようというのは大変大事なことです。若い人が子どもを作ってくれなければ明日の日本はないということですから。古いことをいうと笑われるかも知れないが「子供は家庭の宝のみならず国の宝だ」と思っています。「子ども手当」で子育てするお母さん方に国が少しでもお手伝いしようというもっとも大きな政策目標でした。

 まだまだ旗を降ろした訳ではありません。財政的に難しい面もあって60%ぐらいしかできてない。自公政権時代の「児童手当」と民主党の「子ども手当」は「国が子育てを支えよう」という意味からして根底にある思いはほとんど違いはありません。ただ、与野党交渉の中で「児童手当」復活という事になりそうだが、自公政権時代の「児童手当」と違い、支給年齢を引き上げたり支給金額も上がるなどもっと良くなっている。実質的な中身を取ったと言うことです。自民党は「農家の戸別補償、高速道路の無料化、高校授業料無償化も廃止しろ」いわゆる4Kを止めろといっています。こっちの方はまだ話がついていません。

 国の政策というのは毎年毎年変えられるものではない。自民党の長期政権が続いたというのは最大野党だった社会党の問題もある。外交、安全保障などあらゆる面で自民党と正反対のことを言ってきた。「社会党のいっていることはいいことだけど、とても実現は不可能」ということで国民は不満ながら自民党の長期政権を続けさせてきたと言うことです。

 それでも国民の間に「日本は民主主義なんだから、自民党の長期政権はおかしい。自分らの一票で政権を交代しなくちゃならない」という不満が高まってきました。

 自民党が国家の運営をしくじった時、いつでも自民党に代わるもう一つの受け皿政党。つまり、二大政党が必要だということで私や小沢君や羽田君、岡田君らが自民党を飛び出し、幾多の苦難を経て09年の総選挙でやっと民主党政権を作り出したのです。

小沢一郎をどう処遇するのか

〔PHOTO〕gettyimages

渡部: 福田康夫内閣の時、小沢一郎君が「自民党との大連立」をやろうといいだしました。この時、民主党内では「反対だ」という声が広がり、大連立は霧消する。

 今から考えると小沢君に先見の明があったと思う。あの時、自民党と組んで連立政権をし、民主党の諸君が政権運営の経験しておけば良かったと思う。今日、民主党政権が出来て見ると政権を運営する準備が足らなかったことは率直に認めなければなりません。

 東日本の大震災に対しても小沢君の力は必要ですし党の常任幹事で「小沢君の力を大いに発揮はできるようにしていただきたい」と申し上げ皆に了承してもらいました。菅君の辞任という状況になればこれから大いに動くと思いますよ。

 ただ、日本は法治国家であり10月6日に初公判が始まるという被告人のみでは小沢君が総理になるということは出来ないでしょう。

「小沢君は必ず無罪を勝ち取ってくれる」と信じています。小沢君が無罪になったらそれこそ堂々と働いてもらおう。無罪になるには半年から1年くらいはかかるかも知れないが、無罪になったら堂々と活躍していただきたいと思っています。

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