4億人のプライバシーを脅かす中国企業の「サイバー戦争」

サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(香港)ほか CHINA

2010年12月22日(水)

ユーザーの個人情報保護をめぐるIT企業同士の泥仕合。両社の争いは、ほんとうにユーザーのためのものなのだろうか。中国ではいま、4億2000万人に上るインターネットユーザーのプライバシーを脅かす前代未聞の事件が世間を騒がせている。

 事件の当事者は、セキュリティソフトの「奇チー虎フー(Qihoo)」社と、インスタントメッセージソフト「QQ」で有名な、ポータルサイト経営の「テンセント(騰訊)」社。奇虎のユーザー数は3億、QQのアカウント数は6億を超える。どちらも、中国のソフトウェア界をリードする存在だ。

 事件は、奇虎が9月末に発表したウイルス対策ソフトの新しいツールが、QQを「コンピュータ内部をのぞき見している」危険なソフトウェアとして検出したことに端を発する。
奇虎は、ユーザーに断りもなく、インスタントメッセージとは関係ないファイルまでスキャンするQQには問題があると告発。テンセントも、奇虎はQQユーザーのアカウント情報などをスキャンしていると応酬した。以来、両社は互いを提訴し、非難と互いのシステムの妨害などの争いを繰り広げている。11月初めには、テンセントが奇虎のソフトを使うユーザーのQQを起動できなくするという事態に至った。

 奇虎によれば、QQはユーザー情報や他社のソフトの仕組みを知り、それを自社の製品開発に活かすため、06年からこうした行為を行ってきた。そうして開発されたソフトには、奇虎製品の類似品もあったという。

サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(香港)ほか

 奇虎は新しいツールが、そうしたQQを標的にしたものだったことを認めている。一方のテンセントは、スキャンの事実を否定し、他のIT企業4社とタッグを組み、あの手この手で奇虎の「不正な競争」を糾弾している。

 QQのユーザーには「プライバシーは心配だけど、みんなが使っているQQをやめるわけにもいかない」という人が多い。

 ただし、テンセントへの抗議のため、QQから今回の事件とは無関係の別のマイクロブログへの乗り換えを呼びかける運動が行われ、約7万5000人が応じている。

 また、両社ともにあまりにユーザーの権利を無視しているという声も上がっている。
 



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