浴びれば即死が待っている 福島第一 「10シーベルト」が 意味すること

2011年08月24日(水)
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死者が出ないことを祈る

 それでなくとも、現場の作業員たちの置かれた環境は、どんどん悪化しているという。復旧作業に携わる作業員の一人はこう語る。

「建設関係を中心に作業員の人数が増え、さらに業者によるピンハネもあって、作業員一人あたりの給与や日当が激減しています。いまでは1日1万円にもならない金額で、被曝しながら働いている人がいる。ただでさえ人が足りないというのに、これでは作業員の募集が難しくなるばかり。

 酷暑や猛烈な湿気、そして被曝に怯えながら、現場作業員はなんとか踏みとどまっていますが、そのうち、何か大きな事故が起きるのではないかと、心配でなりません」

 作業員たちの労働環境の悪化のみならず、そもそも各原子炉も、依然として予断を許さない状況だ。

 東京電力が8月3日に経産省原子力安全・保安院に提出した報告書によれば、現時点で炉心への注水機能が失われた場合、メルトダウンした燃料に残る崩壊熱により、1号機~3号機は13~15時間で原子炉の温度が1200度に達するとしている。

 福島第一で行われている注水作業については、循環システムの度重なる故障や、稼働効率の悪さが伝えられている。システムが動き出して1ヵ月以上が経過しているのに、高濃度汚染水は減らず、むしろ増えているのが現実だ。

 だが、もしそれが何らかの理由で完全に止まれば、半日後にはまたしても水素爆発や、さらに深刻な水蒸気爆発を起こす可能性さえあるということだ。

 こんな綱渡りの状況にもかかわらず、「収束に向かっている」などと喧伝し続ける政府と東電の態度は、まったく理解できない。

「爆発的事象の起きる可能性は、確かに以前に比べれば減っているかもしれませんが、だからと言ってそれが安全だと言えるわけではない。メルトダウンして格納容器の密閉性が失われてしまったという時点で、本来は人間が制御できる範疇を超えてしまっていることを忘れてはなりません。

 いまも福島第一は、緊急事態中の緊急事態にあることは間違いないのです。政府と東電は、希望的観測ばかりを言うのではなく、きちんと事実を伝える必要があります」(前出・後藤氏)

 政府・東電による、もっとも〝楽観的〟なシナリオでも、福島第一で溶けた燃料棒の取り出し作業に着手できるのは、10年後である。完全収束には数十年どころか、それ以上の歳月を要するだろう。われわれは、なんという負の遺産を抱え込んでしまったのか。

「週刊現代」2011年8月20日・27日号より

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