経済の死角

浴びれば即死が待っている
福島第一 「10シーベルト」が
意味すること

2011年08月24日(水)
週刊現代
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「東京電力は、『近くで作業をする予定がないから問題はない』との説明をしています。しかし、本当にこれまでの5ヵ月で、その危険な高濃度汚染箇所に近づいた作業員がいなかったのか。しっかりとした調査が必要です」(元東芝の原子炉設計者・後藤政志氏)

 東京電力・福島第一原発の事故処理に、またも重大な問題が発生した。同原発1号機・2号機の原子炉建屋間にある主排気塔の下部などで、毎時10シーベルト(Sv)=1万ミリシーベルト(mSv)超という、異様に高濃度の放射能汚染箇所が発見されたのだ。

 計測した機械が10Svまでしか測れなかったため、実際の放射線量は、これより遥かに高い可能性がある。人間は毎時7Sv以上の放射線を浴びると確実に死に至る。10Sv超など、まさに即死レベルだ。

 東京電力はこの「発見」を、「3月の事故直後にベント(排気)した際に出た放射性物質が、排気塔に溜まっている」などと、あたかも大した問題ではないかのように発表した。しかし、本当にそうなのか。前出・後藤氏はこう指摘する。

「1、2号機の排気塔でそんな数値が出ているなら、当然、3、4号機の同じ場所にも、同じ危険があると考えなければならない。原発敷地内の別の場所にも、どこにそうした高濃度汚染箇所があるか分かりません。作業員が近づけない場所が増えていけば、事故処理の工程にも、当然影響が出てくると思われます」

 実際のところ、福島第一の状況は、政府や東電が説明しているような、「順調に収束に向かっている」状況とはほど遠い。事故対策に関わる政府関係者の一人は、「危険なのは、むしろここから先だ」と語る。

「今までは、ガレキを機械で除去したり、原子炉建屋の外で循環冷却のための配管を設置したりといった、比較的、放射線量が低い場所での作業が大半でした。しかし、これからは建屋の中に人間が入り、燃料棒がメルトダウンして穴が空いている炉心状況の確認作業などが必要になってくる」

 これまでの作業でも、平常時の被曝限度である累積100mSvを超える被曝をした作業員が100人以上いることが確認されている。今後、即死レベルの危険地帯がある建屋内での作業が増えれば、どれほどの被曝量になるのか、見当もつかない。

「10Svの箇所では、3mの距離から放射線量を計っただけの作業員が、4mSvもの被曝をしてしまった。このまま被曝量が増えていけば、想定しているよりずっと早く、作業員の数が足りなくなる」(同関係者)

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