脱官僚と政治主導に失敗し、「内部崩壊」が始まる民主党の代表選
増税論者の野田に勝ち目はない
いまのところ推薦人20人の条件をクリアして、立候補が確実なのは野田佳彦財務相ただ1人〔PHOTO〕gettyimages

 菅直人首相の退陣がようやく固まって、民主党は代表選に動き出した。といっても、民主党の「子ども手当存続ポスター」問題で特例公債法案の参院審議に不透明感が出てきたので、退陣の段取りが最後まで迷走する可能性は残っている。

 だがここは、ひとまず菅が退陣し、次の代表を選ぶ前提で考えよう。

 いまのところ推薦人20人の条件をクリアして、立候補が確実なのは野田佳彦財務相ただ1人だ。鹿野道彦農林水産相も20人を確保しつつあるようだ。樽床伸二元国対委員長も可能性がある。馬淵澄夫前国土交通相や小沢鋭仁元環境相も立候補の意欲を示しているが、20人のハードルを超えられるかどうか微妙だ。

 代表選で焦点になるのは増税問題と大連立への対応、次いで原発・エネルギー政策だ。民主党が政権交代を果たした原動力が「脱官僚・政治主導」であった経緯を考えれば、本来なら公務員制度改革も争点にならなければならない。

野田の増税と大連立はセット

 だが、脱官僚の旗はとっくにボロボロになってしまった。政権交代して2年も経っているのに、いまだに国家戦略室を設置する根拠法すら整えられず、国家戦略相を完全に形骸化させたまま放置している状態をみれば、もはや民主党が脱官僚・政治主導に本気で取り組むとは思えない。それでも政治主導を唱える候補もいるかもしれないが、口先だけなのは目に見えている。

 以上から、候補者たちと焦点の政策を色分けすれば、増税を目指すのは野田であり、これに対して反増税は馬渕と小沢、それに樽床である。鹿野はいまのところ態度を鮮明にしていない。

 増税にも復興財源としての増税と社会保障財源としての本格増税という二通りの考え方がある。野田はどちらをとってもガチガチの増税派だ。まさに財務省路線そのままである。馬渕と小沢は本格増税にも慎重なようだが、樽床は復興増税への反対を明言するにとどまっている。

 野田の増税と大連立志向はセットとみていい。増税を実現するためには法案を参院で通過させねばならず、そのためには自民、公明両党と大連立を組んだほうが手間を省けるからだ。逆に増税に熱心でないなら、大連立に熱心になる理由もなくなる。

 原発・エネルギー政策はもちろん大事だ。だが、福島第一原発事故が収束しない中で、中長期的に脱原発依存の方向は変わりようがない。どの候補者もせいぜい「原発を稼働せざるをえないうちは安全性を高め、太陽光など再生可能エネルギーの普及を進める」程度の口当たりのいいお題目を唱えるだけだろう。

 こうしてみると結局、争点は増税一本に絞られてくる。

 では、増税論者の野田が勝つ可能性はあるだろうか。私はないとみる。理由は単純だ。党内の大勢は増税に反対であるからだ。それは先の社会保障と税をめぐる党内論議や復興増税をめぐる論議であきらかになった。

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