またも外交で敗北するのか COP16で高まる不平等条約「京都議定書」延長論は日本の危機だ

「日本に貢がす」 途上国とEUの算盤勘定

 メキシコのカンクンで11月29日から12月10日までの日程で、第16回気候変動枠組み条約締約国会議(COP16)が始まった。

 気掛かりなのは、「京都議定書」の2012年の有効期限切れに向けて、開発途上国や欧州連合(EU)が2013年以降もこれを単純延長する構えをみせていることだ。

 京都議定書の実態は、米国と中国という温暖化ガスの2大排出国を始め、世界の7割を排出している国々が削減義務を負わない不平等条約である。その延長は、地球温暖化を黙認することに他ならない。しかも、日本にとって、理不尽な財政負担という悪夢が続くことを意味する。そのような延長は、外交の敗北にとどまらず、国営が著しく損なわれる事態である。

「離脱すべき」との発言も飛び出した

 24日夕刻、都内の記者会見に、日本を代表する経済・産業団体が顔を揃えた。石油連盟、セメント協会、電気事業連合会、電子情報技術産業協会、日本化学工業協会、日本ガス協会、日本自動車工業会、日本製紙連合会、日本鉄鋼連盟の9団体で、彼らは「京都議定書の延長には反対です」と記した「COP16等に向けた産業界の提言(共同提言)」を公表しCOP16への強い懸念を表明した。

 その提言によると、京都議定書の延長は、産業の国際的な「イコールフッティング」を壊して日本の経済・雇用に深刻なダメージを与えるほか、日本よりエネルギー効率の悪い国の生産を増幅して、地球規模での温暖化ガスの排出拡大を招きかねないという。そして、京都議定書の延長は、「次善の策」などではなく、「極めて不適切」と結論付けた。

 出席者たちは、よほど思い詰めていたのだろう。席上、COP16が京都議定書の延長を決定した場合に日本が採るべき対応を問われて、日本鉄鋼連盟の関田貴司環境・エネルギー政策委員長(JFEスチール専務執行役員)は、「間違った電車に乗ってはならない。離脱すべきと我々は考える」と語り、国連の気候変動枠組み条約締約国会議からの脱退論を主張したという。

 こうした産業界の主張に、違和感を持つ人は少なくないはずだ。地球温暖化枠組み条約締約国会議は、その運営についてはひどい話が多いとはいえ、れっきとした国連の組織である。そこからの離脱は乱暴過ぎるというのが常識的感覚ではないだろうか。

 国連組織からの脱退との言葉からは、日本の国際連盟脱退という歴史的事件さえ思い起こさせる。国際連盟が1933年2月の臨時総会で、日本の満州国承認の撤回を求める勧告案を可決したことを不満として、当時の松岡洋右全権代表らは総会の席を蹴って退場した。その模様を報じた新聞記事は勇ましいが、以後の日本は国際的な孤立を深めてドイツ、イタリアとの連携に傾注、第2次世界大戦への道を歩んだのだ。

 その歴史を踏まえれば、「地球温暖化枠組み条約締約国会議」レベルのこととはいえ、国際連合からの離脱が賢明な選択肢と思えない。この種の発言は、日本を代表する産業団体の代表としてはあるまじき軽率な発言と思えてならない。

 とはいえ、9団体が指摘したように、京都議定書の実態を正視することは重要である。

 この国際条約は、地球温暖化を予防するどころか、発足時以来の矛盾がどんどん拡大している。もはや、その狙いとは逆に、温暖化を助長しかねない枠組みに変容しつつあるからだ。

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