オバマ大統領のネット政策を葬った米国中間選挙 vol.2
ブロードバンド規制の強化はどうなる
〔PHOTO〕gettyimages

vol.1 はこちらをご覧ください。

 11月2日の米中間選挙で与党デモクラート(民主党)が大敗し、オバマ民主党政権は放送通信行政の軌道修正を求められている。 "ネットワーク中立性法"の制定と"ブロードバンド規制強化"を目指してきたオバマ大統領は、本当にネット中立性政策を断念するのだろうか。

 今回はまず、過去数年に渡って繰り広げられたネット中立性における政治的な攻防をまとめ、ブロードバンド規制の強化の行方を考えてみよう。

ネット中立性の行政指導で首を絞めるFCC

 米国の放送行政を牛耳る連邦通信委員会(FCC)のジュリアス・ジェナコウスキー委員長はネットワーク中立性推進論者として知られている。同氏は、FCCのトップに就任後、ブロードバンド規制の強化に意欲を示してきた。まず、2010年3月FCCは「全米ブロードバンド計画(NBP:National Broadband Plan)*1」を連邦議会に提出した。

 同計画では、経済振興策としてブロードバンドを放送・通信行政の柱に据え、ユニバーサル・サービス基金 の改革など既存ルールの見直しを提案している。

 しかし、NBPを発表した翌月、FCCのブロードバンド規制強化は一転窮地に陥る。FCCの中立性ガイドラインは法律的な根拠がなく「FCCの独断専行である」との判断を裁判所が示したからだ。

*1 ユニバーサル・サービスとは、電話を市民生活に不可欠なものと考え、利用料金の一部を同基金が集め、過疎地の電話サービスを補助したり、低所得者に電話を提供すること。本来は電話サービスだけだったが、近年はブロードバンド・サービスへの拡張が求められている。

 発端は2010年4月6日、コムキャスト裁判で連邦通信委員会(FCC)が敗北したことだった。これは、2008年8月1日「ネットワーク中立性ガイドライン」に抵触するとして、FCCがP2Pトラフィック規制を行った米CATV最大手のコムキャストに業務改善命令を出したことが切っ掛けだった。

 一旦はコムキャストも業務改善報告をおこない同騒動は終了したように見えたが、2009年7月27日、コムキャストはコロンビア特別地区連邦巡回控訴裁判所に「準拠すべき法律や規制がないままにFCCが命令を下し越権行為を行った」と訴えた。

 この判決は純粋な法律解釈の戦いだった。米国政府はブロードバンド普及を狙ってケーブルモデムなどのサービスを米国通信法における非規制分野(Title I)に分類している。そのため裁判は中立性ガイドラインの意義よりも、FCCによる「法的根拠の有無」が戦われ、裁判所は「根拠なし」と判断した。

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