夜眠れない菅首相が勝負をかける「12月末内閣改造」の勝算
カギを握るのは沖縄知事選の結果

 夜中に目が覚め、寝付けないことが多いという菅直人首相---。共同通信社の世論調査(11月23,24日実施)によれば、内閣支持率は前回調査から9.1ポイント下がって23.%、不支持率も前回の48.6%から61.9%に急上昇した。内閣支持率が20%台前半に下落したことで菅政権はいわゆる「危険水域」に入った。

 26日夜、総額4兆8000億円の円高・デフレ対策を盛り込んだ2010年度補正予算案は成立した。が、自民党など野党は仙谷由人官房長官と馬淵澄夫国土交通相への問責決議案を参院本会議に提出、同案は可決された。

 改めて指摘するまでもないが、問責決議案には法的拘束力がない。しかし、野党は今後仙谷、馬淵両氏が出席する参院の各委員会をボイコットするため、12月3日の会期末まで国会は空転する。「12月政局」が取り沙汰される現在、菅政権に政権浮揚策はあるのか。

 筆者の耳に届いた官邸筋からの情報によると、北朝鮮軍による韓国・延坪島砲撃事件を貴貨として外交・安保政策で毅然とした姿勢を打ち出し、首相のリーダーシップ発揮を国民にアピールする見せ場を年末から来年初頭にかけて準備しているという。内閣不支持理由のトップ「首相に指導力がない」の33.4%を強く意識してのことだ。

 具体的には、12月中旬、韓国の李明博大統領との日韓首脳会談を京都で行い、さらに年初1月4日の伊勢神宮参拝後に訪米、オバマ大統領との会談をセットするよう外務省に指示を出したというのだ。この秘策には前提がある。28日の沖縄県知事選挙で現職の仲井眞弘多知事が伊波洋一前宜野湾市長を破って再選を果たすことである。

 直前のマスコミ各社の情勢調査では両候補は大接戦を演じ、どちらが勝利するかは、それこそ蓋を開けるまで分からない。普天間飛行場(宜野湾市)の移設問題を争点とする知事選で自民、公明両党は仲井眞氏を支援、民主党沖縄県連や社会大衆党は伊波氏を推している。

 政治的に複雑なのは、官邸と民主党執行部の本音は仲井眞氏再選であり、党内の小沢一郎元代表グループが裏面で伊波氏を支援していることに加えて、選挙期間中に「県外移設」を訴えた仲井眞知事が来年早々に名護市辺野古沖への移設を容認する段取りができていることである。

〔PHOTO〕gettyimages

 即ち、「仲井眞再選」という前提をクリアすれば、菅首相はオバマ大統領に対し、日米合意の履行=辺野古沖への移設を自らの責任で実現すると言明できるのだ。と同時に、民主党内に反対論が少なくない「環太平洋パートナシップ協定」(TPP)についても、交渉参加を通告することで国内外に強いリーダーシップを示すことになる。

 そして1月中旬召集の通常国会冒頭に「普天間」と「TPP」を争点に衆院解散・総選挙に踏み切るという乾坤一擲の決断を行う。そのためにも、年末ギリギリに内閣改造・党人事を断行する。

その先にある大連立構想

 年末12月の内閣改造には先例がある。小沢一郎元代表の自治相と羽田孜元首相の農水相の初入閣となった中曽根康弘第2次改造内閣は85年12月28日、官房長官を交代させた海部俊樹改造内閣が89年12月29日だった。

 仙谷官房長官を民主党幹事長、岡田克也幹事長を外相、そして前原誠司外相を官房長官にする「トライアングル人事」を行って、それこそ仙谷氏の「暴力装置」という"新左翼"用語答弁が国会で問題となったが、まさに「一点突破」を図るというのである(因みに、「暴力装置」は新左翼用語ではなく、マックス・ウェーバーが軍隊、警察の定義に使ったれっきとした学術用語である)。

 それはともかく、この人事が実現した場合、自民党の谷垣禎一総裁と大島理森副総裁、公明党の井上義久幹事長と漆原良夫国対委員長にパイプを持つ仙谷氏主導の民主、自民、公明3党による「大連立」構想が現実味を帯びてくる。年末から年明けにかけての「12月政局」の結果次第で菅政権の命脈が尽きるのか、それとも生き延びるのか判明する。

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