伊藤博敏「ニュースの深層」
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「原発」被害では片付けられない負債総額4300億円「今年最大の倒産」となった和牛商法「安愚楽牧場」が抱える根源的問題

2011年08月18日(木) 伊藤 博敏
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「安愚楽牧場」HP

 負債総額4300億円---今年最大の倒産となった安愚楽牧場は、債権者の大半が一般投資家で、返済率が10%に満たないことが予想されるだけに、刑事事件への進展も含め、今後、社会問題化することは必至だ。

 「本年3月11日の東日本大震災以降、福島第一原子力発電所の放射線漏れ事故による牛の放牧制限、放射性セシウムの検出による出荷制限等と、同社の経営は大きな制限・打撃を受け・・・」

 債権者に送られた代理人弁護士の「通知書」(8月1日付)にはこう書かれていた。「風評被害」も含めて、原発事故の被害者であるという認識で、事実、安愚楽牧場は補償を求める方針を明らかにしている。

「原発」「口蹄疫」「飼料高騰」だけが原因ではない

 昨年には宮崎県で口蹄疫問題が発生、安愚楽牧場では約1万5000頭を「殺処分」にした。この時は農林水産省が約88億円を補償、直接の被害は免れたものの、「牛の異状について通報に遅れがあった」として宮崎県から改善指導を受け、また同社の姿勢を地元紙から厳しく批判され、イメージの低下は免れなかった。

 加えて、ここ数年で急激に高騰した飼料問題もある。20年近く、和牛の販売価格は卸、小売価格ともに横這いかデフレ経済を映して下落。そうした状況下で、飼料の高騰と口蹄疫問題で打撃を受け、さらに福島原発事故でとどめを刺された。

 「3重苦」が安愚楽牧場を襲ったのは確かだが、4300億円の負債総額で預託金を拠出したオーナー(投資家)が7万3000人にのぼるという被害規模は、「和牛預託商法」というビジネスモデルそのものの破たんがもたらしたものである。

 あなたも「和牛」のオーナーになりませんか---。

 高原、農村、和牛の三点セットの写真を使い、"牧歌的"な装いを凝らしたパンフレットで投資家を誘い込む「和牛預託商法」がブームになったのは、1996年以降の数年間だった。

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