再び軍事衝突も 断固たる決意で望んだオバマ大統領と危機感なき菅直人首相
砲撃戦後の主導権を握った米国の戦略を読み解く
〔PHOTO〕gettyimages

 北朝鮮による延坪島砲撃事件は世界に衝撃を与えた。

 事態はなお進行中だが、これまでの動きを見る限り、28日からの米韓合同軍事演習中に、再び軍事衝突が起きる可能性も十分にあるとみるべきだ。米国は今回、相当な覚悟を決めて北朝鮮に臨んでいるとみられるからだ。

 米国の対応を中心に、時系列を振り返ってみよう(各種報道による)。

 北朝鮮が韓国の延坪島に砲撃を開始したのは23日14時34分(日本時間、以下同じ)ごろからだった。視察先のインディアナ州で就寝中だったオバマ大統領に国家安全保障担当の大統領補佐官から電話で一報が知らされたのは、同17時55分(現地時間03時55分)だ。

 大統領はその後、ホワイトハウスに戻って緊急会議を開く。すると、翌24日07時30分ごろには、早くも米原子力空母、ジョージ・ワシントンが横須賀港を出港した。

 艦長は出航前に「(沖縄周辺海域で)予定されていた海上自衛隊との演習のため」と説明している。砲撃事件との関連が当然、予想されたが、事件との関係は「コメントできない」と語った。この段階で米韓合同軍事演習の話は少なくとも公式には表に出ていない。

 空母が出港した後でオバマ大統領は韓国の李明博大統領と電話会談し、28日から12月1日まで黄海で米韓合同軍事演習を実施することで合意する。同日午前、在韓米軍司令部と韓国軍合同参謀本部が演習実施を発表し、ジョージ・ワシントンも参加すると明らかにした。

 電話会談の開催は米国側からの提案だった。

即決したオバマ大統領

 表に出た経過を見る限り、米国が先に空母を出航させ、その後に李大統領に電話して軍事演習が正式に決まった点が重要だ。それだけ米国側の意思が固かった証拠である。

 空母出航には相応の準備が必要であることを考えれば、オバマ大統領はほとんど半日のうちに即決、指示した格好である。

 ジョージ・ワシントンが参加した米韓合同軍事演習は韓国哨戒艦撃沈事件後の7月にも実施された。ところが、このときは中国が自国領土に近い黄海への米空母立ち入りに強く反発し、米韓は結局、日本海での演習にとどめた経緯がある。

 当然、米国は今回も黄海での演習実施に中国が反発するのを予想していたはずだが、そんなことはおかまいなく、米韓協議だけで演習実施を決めている。その後、黄海での演習実施を「中国に通告した」と発表した。中国に事前了解を求めた形跡はない。ここにも断固たる米国の意思がうかがえる。

 25日になって、米国務省のクローリー次官補が「中国と近く高官協議する予定」と発表した。次官補はわざわざ「北朝鮮を根本的に違う方向に導くために、中国が鍵になる」と語っている。

 中国の事前了解なしに演習実施をしっかり既成事実化したかと思えば、中国側の反応が鈍いとみてとると、すかさず米中高官協議をもちかけ「中国が鍵」ともちあげる。さすが米国というか、にくいほどの素早さ、事の運び具合である。

 一連の動きをみれば、砲撃事件の後で主導権を握っているのは、北朝鮮でも中国でもない。あきらかに米国である。米国はなにを狙っているのか。

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