雑誌
マツダの底力
渦中のメーカーを徹底分析

 山内孝社長体制になって丸2年になろうとしているマツダ。山内氏はリーマンショック直後に社長に就任。

 最悪の状態からタクトを振ることになったが、山あり谷あり。血のにじむような経費削減、エコカー購入補助金による追い風もあり、'10年3月期にはほかの国内自動車メーカー同様に黒字転換。とはいっても、楽観できる状況ではないことは数字からも明らかで、実際に世界販売台数は119万台と5.4%減。

 それに対し山内社長は、

「グローバル販売台数は販売台数は下半期より増勢に転換、主要市場で残存価値が着実に改善し、ブランド価値も引き続き向上しており、反転攻勢に向けてもの作り確信をさらに推進する」

 と、強気のコメント。

 後述するが、フォードが持っているマツダの株式のほとんどを売却しようとしているという噂も出ている。マツダは、フォードとの良好な関係の継続をアピールしているが、事の真偽は・・・。

 日本で唯一のスポーツカーメーカーとして名高いマツダが方向転換を迫られているのは明白の事実だが、今こそマツダにとって底力の見せどころ。

 マツダはこの先いったいどうなるのか?

SKY-ACTIVE戦略で環境技術で大逆転?

 次世代カーにはハイブリッドカー、クリーンディーゼル、EV、燃料電池車などがあるが、そのなかで今後イニシアチブを握ると考えられているのが、ハイブリッドカーとEV。過渡技術であるハイブリッドカーを経て、ゆくゆくはEVに切り替わっていく(現時点で燃料電池車は期待薄)、という考えが趨勢で、世界中の自動車メーカーは今後の生き残りをかけ、次世代カーの開発に着手。

 しかし、専門家からはマツダはハイブリッドカー、EV、さらにはバッテリー技術などのカテゴリーでの立ち後れが指摘されていて、将来に暗雲が立ちこめていた。

 マツダはこれまでも何度も自社開発のハイブリッドプロジェクトが立ち上がっては消える、を繰り返しているが、昨年6月に自社開発のハイブリッド研究チームが正式に立ち上がった。

 しかし、ハイブリッドを自社開発するにはその開発コストは現状のマツダのキャパを大きく超えていることもあり、今年3月に昨年来噂になっていたトヨタからのハイブリッド技術の供与が正式発表され、マツダも'13年にはプリウスのハイブリッドシステムを搭載したマツダ車を発売することを明言(アクセラに搭載されるのが有力)。

 マツダは『'15年に'08年比で平均燃費を30%向上させる』という目標を掲げている。トヨタからのハイブリッド技術供与はそのための方策だが、それだけではクリアできない。

 しかし、マツダは目標達成に対し自信満々。それは、昨年の東京モーターショーで公開されたSKY戦略があるからだ。

 マツダの次世代環境技術、SKY戦略については、10月21日に山内社長出席のもとマツダから正式に発表。残念ながら締め切りの関係でその内容を盛り込むことはできないが、BCは概要について情報入手。

 これまでSKY戦略と呼んでいるが、正式には『SKY-ACTIVE』となる。次世代ガソリンエンジンが『SKY-ACTIVE-G』、次世代ディーゼルが『SKY-ACTIVE-D』、次世代トランスミッションが『SKY-ACTIVE-DRIVE』と命名されている。

 SKY-ACTIVE-Gは今はやりの過給エンジンではなく、高圧縮比を実現することで熱損失を低減したエンジンで、エキゾーストマニホールド、インジェクターの噴射技術などにも秘策あり。いっぽう、SKY-ACTIVE-Dは、SKY-ACTIVE-Gとは逆に低圧縮比を実現させることにより、特別な後処理なしでクリーンディーゼル化。

 SKY-ACTIVE-DRIVEはAT、MT両方用意され、ツインクラッチ並みのレスポンスと4~7%の低燃費化に貢献する次世代トランスミッション。

 どれもが夢のような技術で、

「本当に実現できるのか? 机上の空論で終わるのでは?」

 と、専門家でさえ疑問視する声があるのも事実。その技術的詳細については、この本が発売された時には明らかになっているハズだ。

 このSKY-ACTIVE戦略は、来年4月のデミオのマイチェンからスタートする。

SKY-ACTIVE戦略は来年4月のデミオからスタートする。1.3ℓ直噴エンジンにSKY-DRIVEとi-stopを組み合わせて10.15モード燃費30.0km/ℓを目標に開発が進められている。もちろんその超燃費を実現させるためには、高剛性軽量シャシー&ボディ技術を盛り込むことも必須。その後アクセラ、来年10~11月に登場予定の新開発のコンパクトSUVのCX-5にも搭載される。マツダのSKY-ACTIVE戦略はその後ミニバンにも拡大採用され、これによりマツダ車の平均燃費は大幅にアップするのは確実。これは凄い!

 まずは、デミオにSKY-ACTIVE-G、SKY-ACTIVE-DRIVEが搭載され、デミオは10.15モード燃費で30.0km/ℓをマークするという。現行デミオの1.3ℓ搭載モデルの10.15モード燃費は23.0km/ℓだから、30%以上も燃費が向上することになる。これは驚異的で、フィットハイブリッドと同じカタログ燃費ということで、これが実現できればハイブリッド不要論さえ出てくる。

「30.0km/ℓはあくまでも目標値」(マツダの情報筋)

 というが、自信がなければ発表するとは思えない。つまり、デミオは30.0km/ℓで登場するのは間違いない。

 このSKY-ACTIVE-Gはデミオの後に、アクセラ(6月頃が有力)、そして来年10~11月デビューが濃厚なベリーサ後継の新型コンパクトSUV(CX-5)にも搭載される。そしてその後ダウンサイジングが必至の次期ロードスターなどマツダ車全車に拡大採用。

 次世代環境技術はSKY-ACTIVEだけではなく、燃費の向上とも大きく関係してくる高剛性軽量シャシー、高剛性軽量ボディについても発表されるのは間違いない。

 いっぽう、SKY-ACTIVE-Dに関しては、アテンザに搭載した試作モデルを欧州でジャーナリスト向けの試乗会を開催しているが、日本でのディーゼル需要を考えると導入の可能性は現時点では低い。

 環境技術としてはアイドリングストップのi-stopしか持っていなかったマツダだが、SKY-ACTIVE戦略により環境面で世界のイニシアチブを握ることも充分可能な状況になってきた。

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