アメリカの大学生たちが必死に勉強する理由(その1)
全寮制が勉強を後押しする!

2011年08月22日(月) 田村 耕太郎
アメリカの大学生はよく勉強する〔PHOTO〕gettyimages

平均睡眠時間3時間!?

 今回から再び高等教育に焦点を当てる。第一回の連載で「高等教育においてアメリカが“世界の知"を独占しつつある」と述べた。それを象徴するデータが先週公開された。CGS(米大学院評議会)のデータだ。これによれば、外国人のアメリカ大学院への願書は前年比で11%増加。 中でも 中国からの留学生は三年連続二けた増で、今年はついに21%増。インドからの留学生も8%増。中東からはインドの倍の16%増である。中国、インド、韓国からの留学生の合計は総留学生数の半分を占める。

 高額な学費が支払え、入学にたる英語教育を受けてこられたこれらの若者たちは間違いなくエリート層である。経済が最も好調なアジア新興国のエリート候補生はアメリカへ向かい続けている。潤沢な資金力を誇る産油国のリーダー候補生たちもアメリカを目指す。アメリカに何かと批判的な中国だが、米国で教育で受けたものが各界の幹部候補となっていることは明白だ。アメリカの学部・大学院で学ぶ中国人の総数は16万人に迫る勢いだ。ちなみに、97年まで国別留学生総数でトップであった日本人はアメリカの学部・大学院で現在約2万人。前年比で15%強のマイナスである。

 アメリカの大学教育の魅力のひとつとして、「学生によく勉強させる」事が挙げられる。確かにアメリカの大学生はよく勉強する。それにはわけがある。今回から数回にわたり、アメリカの学生がなぜよく勉強するのかに焦点をあててみる。今回はその理由のひとつである、勉強を支援する環境についてふれてみたい。

 エールやハーバードに在籍中、毎朝、自宅から大学のオフィスまで必ずキャンパスを横切っていた。美しいキャンパスを横切るのは春夏秋冬各々に趣があって気持ちのいいものだ。しかし、気になっていたことがある。それは朝から学生が不機嫌そうなのだ。




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田村 耕太郎

(たむら・こうたろう) 前参議院議員。エール大学上席研究員、ハーバード大学研究員などを経て、世界で最も多くのノーベル賞受賞者を輩出したシンクタンク「ランド研究所」で唯一の日本人研究員を務めた。
国立シンガポール大学公共政策大学院名誉顧問、新日本海新聞社取締役東京支社長。
1963年生まれ。早稲田大学卒業、慶応義塾大学大学院修了(MBA取得)。デューク大学ロースクール修了(法学修士)、エール大学大学院修了(経済学修士)、オックスフォード大学上級管理者養成プログラム修了、ハーバード大学ケネディスクール危機管理プログラム修了、スタンフォード大学ビジネススクールEコマースプログラム修了、東京大学EMP修了。
2002年から10年まで参議院議員を務めた間、内閣府大臣政務官(経済財政、金融、再チャレンジ担当)、参議院国土交通委員長などを歴任。
シンガポールの国父リー・クアンユー氏との親交を始め、欧米やインドの政治家、富豪、グローバル企業経営者たちに幅広い人脈を持つ。世界の政治、金融、研究の第一線で戦い続けてきた数少ない日本人の一人。
2014年8月、シンガポールにアジアの地政学リスクを分析するシンクタンク「日本戦略情報機構(JII)」を設立。また、国立シンガポール大学(NUS)リー・クワンユー公共政策大学院の兼任教授に就任し、日本の政府関係者やビジネスリーダーに向けたアジア地政学研修を同校教授陣とともに実施する。
著書に『君に、世界との戦い方を教えよう 「グローバルの覇者をめざす教育」の最前線から』などがある。