町田徹「ニュースの深層」
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1兆円以上の財源を生む「周波数オークション」を業者への配慮で見送った「周波数官僚」

OECD加盟国では当たり前なのに

2010年11月23日(火) 町田 徹
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 国家予算の48%にあたる44兆3030億円が国債などの公債金によって賄われるという深刻な財政危機に伴い、消費税の引き上げまで取り沙汰される中で、「1兆円を超す」と見込まれる有望な財源の歳入化が見送られようとしている。

 その財源は、競争入札によって、携帯電話用の周波数を割り当てる「周波数オークション」だ。

 周波数オークションをきちんと財源として確立することが絶望視される背景に、「周波数官僚」による一部携帯電話会社に対するなんとも不思議な配慮と、周波数を利権とみなす発想が存在することは見逃せない。

 周波数オークションとは、文字通り、政府が、放送局や通信事業者に対して、周波数を割り当てる際に、オークション(競争入札)によって決定する方法である。

 これまで日本では、放送局や通信事業者が提出した事業計画書などをもとにして、事業の採算や将来性、安定性などを勘案して、周波数を割り当てる事業者を決める「ビューティ・コンテスト方式」が行われてきた。

 オークション方式は、ビューティ・コンテスト方式と異なり、経済情勢に応じて投機的な高値落札を招き、当該企業の経営やサービスが不安定になる懸念がある半面、周波数の割り当て手続きが透明化するほか、国庫への納付金が増えるメリットがあるとされてきた。

 興味深いのが、大阪大学の鬼木甫名誉教授が作成したレポート「海外における電波オークション落札価格と日本における落札価格の推定」に盛り込まれた内容だ。

 同教授はまず、オークションの普及状況を調査し、すでに米国、英国、イタリア、カナダ、韓国、ドイツ、フランスなど経済協力開発機構(OECD)加盟30ヵ国のうち24ヵ国がオークションを採用しているのに対して、未採用国はスペイン、フィンランド、日本などわずか6ヵ国にとどまると指摘する。

 そのうえで、日本でオークションを実施した場合の推定落札価格を試算している。それによると、大手携帯電話会社の事業者収入をベースに、第3、第4携帯電話向けに帯域幅60MHzの周波数を入札にかけると仮定した場合、推定で、その落札価格は最大約1.3兆円なると見込まれるという。

 だが、当の総務省は、周波数オークションの導入に慎重だ。

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