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 また、最近では直感的な操作性に優れ、自分が参加するソーシャルメディアに収集した情報の一覧を公開できるツールが米国から続々登場しています。「Storify」(http://storify.com/)、「scoop.it」(http://www.scoop.it/)は多くの人にとって使いやすいでしょう。両者ともキーワードを入力しておけば、そのキーワードがソーシャルメディア上に出現すると、自動的にそのコンテンツを収集し、キュレーションを容易にしてくれます。

 あるいは、先の二つのサービスほど洗練されていませんが、個人的に私が愛用しているのは、「bagtheweb」(http://bagtheweb.com/)というツールです。多くのツールと同様、自分がまとめた情報(「バッグという」)と類似のバッグを教えてくれます。

 「Qrait」(http://qrait.com/)はシンプルですが、その検索結果をブログやウェブサイトに埋め込むコードを吐き出し、リアルタイムにキュレートされた情報を発信できます。そのほかにもコンテンツ・キュレーションのコンテンツをニュース以外に求めれば、マインド・マップ【註1】をソーシャルで作成できる「MindMeister」(http://www.mindmeister.com/)は、複数名以上のプロジェクト管理やアイデアラッシュ等に利用できるでしょう。「80leggs」(http://80legs.com/)はとにかくキーワードだけを徹底して集めたいユーザーに便利なツールです。単にニュースを集めるだけではなく、自社の評判などを調べるのにも使えます。

「Qrait」HP

 ほかにも紹介しきれないほどのキュレーション・ツールが続出していますが、その多くがブログに代替するパブリッシング・ツールとして登場しているような印象を受けます。つまり、ツィッターの登場以前に、ブログは多くの人にとって日記形式で綴ることができるコミュニケーション・ツールでもありました。もちろん、私が自著で提唱したような「誰でもメディア」の発信ツールでもあったのですが、現在では多くの人がツィッター上でコミュニケーションを喚起させるための発信を行うようになったのではないでしょうか。

 つまり、より日常的な情報(「いまラーメン屋なう」等)の発信は、ブログのようなCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)からツイッターに代替されてしまい、その手の発信内容を楽しんでいたユーザーは、あえてブログにログインして長い文章を書く必要がなくなってきたということです。そして、残ったのは、メディアとしてそれを使う人や組織、また、ある程度長文によって考えをまとめたり、コンテンツ・キュレーションによって新たな視座を提供するためのワードプロセッサ兼データベースという観点です。

 しかし、情報をまとめて分析を加えたりする、いわゆる前述のアドホック型情報発信に特化するとなると、利便性が劣るのも事実です。検索まで兼ね備えたツールとして、前述の「Storify」等を筆頭とするツールが登場したため、そちらに移行するユーザーも今後は増えていくことなるでしょう。

 ブログは情報を瞬時に発信し、双方向コミュニケーションを行うための基盤となるシステムでした。つまり、ソーシャルメディア時代を準備した初期型パブリッシング・ツールでした。そのため、載せるコンテンツは多様です。しかし、今では発信したいコンテンツにあわせてツールの単機能化(モジュール化)が進んでいると言えるでしょう。

 今回、紹介したツールは、リアルタイム・ウェブ化により断片的になりつつあるコンテンツを再接続し、新たな視座を与えるためのものです。そして、ブログと同様、個人の情報発信にメディア的性格を帯びさせるものです。

分解されるメディア

 おそらく、コンテンツ・キュレーションの流れは、ウェブ2.0に遡ると、フォークソノミーというクラウドによるタグ付け【註2】、そして、ソーシャル・ブックマークに端を発することでしょう。私が自著で述べている「編集」とは、情報の発信・編集に留まらず、フォーマットの設計や換金化までも考案するものなので、どちらかといえばプロデュースに近いものです。しかし、情報の取捨選択やメタ視点から気づきを与えて行くという点で、行う作業についてはコンテンツ・キュレーションとほぼ同義です。

 そのような編集的見地に立てば、キュレーション自体もキュレーションの対象になるということです。つまり、情報の取捨選択やメタ視点(メタとは"高次な"という意味をもちますが、ここでは対象となる記述をさらに対象として記述していくことを意味します。つまり、キュレートされた情報をさらにひとつの情報として扱う視座をもつことです。まとめ情報のさらなるまとめがメタ的な編集行為です)から、新たな文脈を編み、読み手に意味や気づきを与えます。

【註1】マインド・マップ 英のトニー・ブザン氏が考案した思考の図解法。思い浮かんだ言葉やイメージ等を図面に置いていき、それぞれ関係するものを繋いでいく。
【註2】フォークソノミーというクラウドによるタグ付け
フォークソノミーとは、フォーク(民衆)とタクソノミー(分類)から成る造語。つまり、これまでコンテンツはその提供者らによって最初から分類されていることが多く(例えば図書館のように、どのコンテンツがどこに収納されるかはあらかじめ分類されている)、お仕着せであることが多かったが、フォークソノミーでは、そのコンテンツ等にユーザーが自由に項目名を書いたタグ(名札)をつけて情報の整理と管理を行うことができる。
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