雑誌
トヨタ全力特集-1
どうした? トヨタデザインダサくないか!?

シェアNo.1を誇る日本自動車界の盟主、トヨタ。しかし最近出るクルマ出るクルマ、なんかカッコわるいような・・・

 日本最大の自動車メーカーであるトヨタ。が、最近なんだか出るクルマ出るクルマ、デザインがイマイチの気がしないだろうか。過日、トヨタがテストコースに韓国車を並べ品評会を行なったところ、開発者がそのデザインのよさに感心していたという情報もあるが、いやいや感心されても困ります。日本自動車界の盟主として、デザイン面でも他メーカーを牽引していただくくらいでないと。

 というわけで'10年に登場した新型車、そして今後登場するクルマを対象に、前澤義雄氏、清水草一氏にデザインを検証していただいた。そして「あんまり」というのならば、どうすればいいデザインが生まれるのかを語っていただいたぞ。

 また、トヨタ全力特集-2では入手した40〜50年前のコンセプトカーの写真を使用し、トヨタのデザインは進化しているのかを探る。そちらもお楽しみに。 

前澤義雄はトヨタデザインをどう評価する?

 トヨタのデザインのこれからを語る手始めに、近々発売されることになるレクサスを含めたニューモデルに触れてみる。写真で見た感じながら、「実物じゃなけりゃあホントの評価は困難」というような奥深いレベルの表現じゃなさそうだから当たらずといえども遠からずだろう。

11年1月登場 レクサスCT200h
どこにも魅力を感じないが・・・
レクサスブランドの入門用HVモデル。レクサスらしい天地に薄いヘッドライトの中にはLEDが仕込まれ、精悍印象を作る
前澤 63点/清水68点

 CT200hはコンセプトモデルで展示ずみだが、これほど個性や新鮮味のない5ドアも珍しい。ましてレクサスブランドとしての格調や高質感は感じられず、ただ部分をいじくり回したようなデザインというかなんというか、とにかくそういう感じの車体だ。

 次にヴィッツだが、初代のように欧州スタジオが関わったかどうかは未知だ。しかしながらやはり近年のトヨタ凡庸ラインに染まってしまったようで、初代が見せていたオリジナリティは微塵も感じさせなくなってしまった。

 斜め前からのビューで先述のCT200hと比べてみると、まったくといっていいくらいにデザインの基本構成が同じなのだ。

 そして近く刷新されるラクティスはというと、何が変わったのか、あるいは進化したのかが疑問となる。口紅の塗り方、アイシャドウの入れ方、後ろ髪の刈り方がチョット違ってはいるが"それがどうした"っていいたくなるレベルで、新たな魅力はない。

10年2月パッソダイハツブーンのOEM供給者。企画段階から女性目線を意識して作られた使い勝手のよさを追及したコンパクト 前澤 30点/清水 -25点

 なんの意図もなく、刷新時期がきたから作り替えはしましたって感じだが、いまだにユーザーはこうしたモデルチェンジを望んでいて、新型と喜んで買うのかしら。中国市場に新たなコンパクトモデルとして売り込む予定のようだが、それにしてもニューモデルがこんな程度のデザインでいいのかなあと思わされる。

 この「こんなもんでいいのか」感は、今年デビューしたパッソにも感じるが。

 最後は昨秋の東京モーターショーに出品されたコンセプトモデルのひとつ、FT-86。"ハチロク"の復活とかいわれて、けっこう話題となり騒がれたもんだが、かつてのAE86は安くて軽いFRの3ドアハッチ(2ドアもあった)でいじりやすいボーイズレーサー的だったのに対し、今度のはミドルクラスのスポーツクーペそのもの。それが失敗の元となるだろう。

 例えば、B級グルメでいくら人気や評判が高かろうともA級グルメの店で、となると注文がパッタリとなるのと同じだ。スポーツカーとなると、よほどのカッコよさじゃなけりゃ見向きもされない。実用品ならぬ趣味的贅沢品だからだ。ところがこのFT-86は、部品類の今風のカタチ以外は見慣れた凡庸なスポーツクーペでしかないのだ。あとはスバル版に期待するのみ。

 以上、これからの4モデルで見ても、トヨタのデザインの新鮮さや魅力というものは残念ながら伝わってはこない。

前澤氏が選ぶ現行モデルのダメデザイン-1 カローラルミオンド「デ~ンと構えているだけでデザインに神経を遣っているとは思えない。大味だ」と評価された

 じゃあ何がいけないのか、そしてどうすればよくなるのか。最もいけないのは、近年のトヨタデザインの傾向として、クルマのデザインで最も重要なプロポーションに個性やメリハリが欠け、部品やディテールのカタチの代わり映えだけの寄せ集めでまとめられていることだ。

 だから無難で嫌われることは少ないかわりに、注目されたり強く好かれたりすることもない。特に若い層には。

前澤氏が選ぶ現行モデルのダメデザイン-2 イスト「変にチマチマとしてて小市民的。物腰は低いがそれだけという感じ」といいたい放題

 日本人の中高年に多い無難派の経済力で伸びてきた日本車にはその傾向がありがちだが、特にトヨタ車はいまだにその体質を引きずっているように見える。

 だが、世代の交代やグローバルな社会の変化が次第に旧来の踏襲を許さなくなっていくはずだ。そのひとつの表われが韓国車によるデザインの追い上げであり、ごく近い将来にはそれ以上の中国車の急激な進化が現われてくるはずだ。

 こうした状況にあって日本の自動車産業、わけてもトヨタの位置づけが揺らがぬようにするには、技術のみならずデザインの魅力によっても世界に訴えることができるようにする必要があろう。

11月24日登場 ヴィッツ(写真はRS)従来からの曲線を感じさせるデザインから新型は直線的なスポーティーなものに路線変更。RSと他グレードはバンパーの形状が異なる前澤 70点/清水 50点

 それには従来的な無難路線から脱し、大きな規模のデザイン拠点と大勢のデザイナーを活き活きとした創造に駆り立て、評価力の高いデザインマネージメントをシッカリと構成し、広く長い観点からの評価を的確にしたうえでモデルへ、そして生産車へと反映させていくことが大事だ。

 いうなれば、リスクを避けて無難に走ることが最大のリスクとなり、大胆な先進への挑戦と的確な評価検証が個性の魅力を確かな収益へと結びつけるのだ。ちなみに最近のトヨタ車のなかで、ほかとはチョット違ってなんとなく魅力に見えるマークXは、プロポーションにわずかながらも配慮しているからだ。

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