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知っておきたい日本のこれから

 「生活水準はアメリカより上」「政治はダメだが、民間の力は世界ナンバーワン」「首相が次々交代しても、日本のブランドは揺るがない」「中国とは民度が違う」「こんなに住みやすい国はない」

[1] 世界は日本をどう評価しているか

外を見れば「中国脅威論」、内を見れば「少子化問題」など、日本のマイナス面ばかりが強調されるが、本当にそうなのか。世界の客観的評価で知る「日本の実力」。

 アメリカで販売されている世界地図の多くは、ヨーロッパが中心に位置するように描かれている。ところがペンタゴン(米国防総省)で使われている世界地図はアメリカ大陸が真ん中に据えられており、この地図では左(西)に日本が、右(東)にイギリスが、アメリカ大陸を挟むように位置することになる。

 この地図を日常的に使っているアメリカの政府高官にとって、常に日本とイギリスは意識せざるを得ない存在であり、中国が台頭してきてもそう簡単に思考は変わらない―。

中国人の10倍稼ぐ日本人

 アメリカで長らく取材していた日本人記者の分析だ。中国脅威論が吹き荒れ、日本人は「日本は世界から相手にされていないのではないか」と弱気になっている。だが、ボストン大学のウィリアム・グライムス教授の言葉も、この記者の分析を裏付けている。

「アメリカが中国に注目しているのは、それだけ摩擦があるからです。経済的に成長していますが、中国は得体が知れないと恐れている人は多い。だから、貿易の世界でも中国はインサイダープレーヤーにはなれません。信用や信頼では日本のほうが上です」

 中国に抜かれたとはいえGDPでは世界3位。失業率が高くても餓死者が大量発生しているわけではない。本当のところ、世界は日本のことをどう評価しているのだろうか。世界の識者たちに本音を聞いた。

「日本人は完全に悲観主義に陥ってしまっている。もっとも、日本人が悲観的でなかったのは、東京オリンピックの後と、オイルショックの前くらいだけだったけれど(苦笑)」

 そう語るのは『アメリカとともに沈みゆく自由世界』などの著書を持つ、カレル・ヴァン・ウォルフレン氏(アムステルダム大学名誉教授)だ。ウォルフレン氏の話を続けよう。

「確かに日本ではサラリーマンの賃金が激減しているし、かつての終身雇用制度も崩壊した。これは小泉純一郎首相が誕生する前あたりから、日本がアメリカの望むような改革ばかりやってきたからです。

 もともと日本には日本のやり方があったのに、上辺だけアメリカのやり方を採用してしまった。だから、日本人は『何かおかしいんじゃないか』と感じ、悲観主義を増長させる結果になっています。

 また、メディアも悲観主義を煽っている。GDPで中国が日本を抜いて、世界第2位になったと言いますが、国民一人当たりで見れば日本は中国の10倍以上です。中国が経済的成長を遂げているのは事実ですが、日本とはまだ比べものにならないほど貧しいのです」

 IMF調査('09年)によると、日本のGDPはアメリカ、中国に次ぐ第3位。しかし、国民一人当たりで見れば日本の17位に対し、中国は97位に過ぎない。いくら中国が儲けていると言っても、中国人10人分の稼ぎが、日本人1人分の稼ぎと同じなのだ。

 では、ここでいくつかの指標を使って、世界における日本のポジションを確認しておこう。参考までに比較されることの多い中国と韓国の順位も併記する(上が中国、下が韓国の順位)。

●国際競争力・・・第6位(27位、22位。'10年度)

●国民総所得・・・第2位(3位、14位。'08年度)

●特許登録件数・・・第1位(4位、3位。'07年度)

 変わったところでは、国連開発計画(UNDP)が毎年発表する「人間開発指数」というものがある。これは、平均余命や識字率、購買力などをもとにしており、単純な所得などではない「豊かさ」を表したものだ。最新の「人間開発報告書2010」によると、日本の順位は第11位。韓国は12位、中国はなんと89位に甘んじている。

 情報の安全性という面でも、興味深い調査がある。いま日本では海上保安庁の航海士による尖閣ビデオの漏洩や、警視庁公安部の情報協力者リストの漏洩が問題になっているが、情報通信企業の「シマンテック」が調査した「パソコンに侵入された経験率」という統計がある。それによると世界平均27%のところ、トップの中国は53%。

 つまり2人に一人がパソコンに侵入された経験ありと答えているのに対し、日本は11%に止まっている。ところが、「個人情報の安全性に不安を感じる」という項目では、世界平均29%に対し、日本55%、中国26%と逆転する。かなり安全性が高いのに、それでも不安なのが日本人。

 かなり危ないのに、それほど不安に感じていないのが中国人ということになる。物事を悲観的に捉えがちな日本人の傾向がここにも表れているが、少なくとも世界的な視野で見れば、日本人が思っているほど日本は悲観すべき状況ではないのである。

リコール問題もあったが、日本車の信頼性はピカ一 〔PHOTO〕gettyimages

 アメリカ経済戦略研究所のクライド・プレストウィッツ所長が語る。

「日本は円高に苦しんでいますが、これは世界の投資家がドルは信用できないと考えて、逃げ出したから。まだまだ膨大な貿易黒字を持っている日本の円のほうが信用できるということです。だから、日本人は自信を持っていい。

 GDPにしても、アメリカの成長率は日本の2倍ですが、人口も増えています。逆に日本はGDP成長率でアメリカの半分ですが、人口は減少している。一人当たりで見れば、日本のほうがアメリカよりも成長していて、生活水準も日本のほうが上なのです」

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