政治政策
ロシア "双頭体制"の崩壊が始まった
緊急レポート プーチンVS.メドベージェフの「暗闘」

 2012年の大統領選挙が近づくにつれ、ロシア・エリートたちの間の政治的緊張はかつてなく高まってきている。最近ではメドベージェフ大統領とプーチン首相との間の矛盾がより顕在化しているが、これには幾つかの要因が考えられる。

 第1に、メドベージェフ大統領は自分自身の政治・経済プログラムを持った(プーチン首相から)独立した政治家であることをより積極的に示そうとしている。

「メドベージェフ大統領は野心的な男で、歴史に名前を残そうと考えるのは当然のことだ」と政治テクノロジー・センターの所長で、大統領専門家グループのメンバーでもあるイゴール・ブーニンは言っている。

 「彼が歴史に、ロシアを近代化した人物として名前を残したがっているのは明白だ」。ブーニンによれば、大統領がインターネットで発表した「ロシア、前進せよ!」の論文は「独立したリーダーとしての地位確立」のための第一歩だった。

 第2に、クレムリンの複数の内部筋によれば、メドベージェフは2012年大統領選挙出馬の意向を強めているという。そのためには、プーチンの人脈が支配する国家資源へのアクセス権を一部、奪う必要があるし、法執行機関の支持を得る必要がある。そうすることで、プーチン支持派であるKGB出身のシロビキ・グループに対抗する力を手に入れ、選挙前に選挙基盤を固めたい。

 第3に、ロシア・エリートたちは双頭体制という不安定な体制にナーバスになっている。自分たちの地位を安定させるためのシナリオ実現に急ぐようになっている。

 これらの理由により、クレムリンの対立グループが、経済、司法、メディアの分野で角を突き合わせている。

メドベージェフに狙われたプーチン側近企業

 経済政策においてプーチン・チームとメドベージェフ・チームとの対立が最初に明白になったのは、2009年上半期、ロシアの経済危機が始まって数ヶ月が経過してからだった。

それは、メドベージェフ大統領の主席経済顧問アルカディ・ドボルコビッチが、プーチン政府の危機対策を公に批判し、「ロシアは長期的危機に用意ができていない」と発言した時だった。

 彼は非効率的な国営企業救済のために巨額の国家資金を使うことを痛烈に批判した。

 ドボルコビッチはさらに、巨大国営企業からその特権を奪うための法律改正も提案した。批判の対象となった国営企業は、2007年、プーチン大統領によって設立され、そのトップにはプーチン配下の人間たちが配置されていた。

 8月、メドベージェフ大統領は、検事総長ユーリ・チャイカに国営企業の活動を徹底的に調査するように命じ、11月、大統領教書演説の中で、「国営企業は商業企業に改編されるか、消滅すべきだ」と宣言した。特筆されるのは、クレムリンの複数の筋によれば、最初のターゲットとなる国営企業の中には、Rostekhnologii(ロステクノロジー)社が含まれることだ。

 この会社のトップは、プーチン側近グループの最有力者のひとり、セルゲイ・チェメゾフだ。

 去年の秋、クレムリンと内閣は、政府提出の法案「ロシアにおける経済活動の国家規制に関する基本原則について」を巡って対立した。プーチン支持者、特に、第1首相ビクトル・ジュブコフ(農業担当)と内閣官房長官セルゲイ・ソビャーニンは、国内食料生産者保護を名目に、小売ネットワークの政府管理を強化することを求めた。

 しかし、メドベージェフ側は、これは小売市場の独占と食料価格高騰につながると批判した。

 クレムリンの法務局は法案にネガティブな評価を下し、メドベージェフの経済顧問ドボルコビッチは、「現在の言葉では、この法案は大統領が受け入れ可能なものではない」と決め付けた。クレムリンは、「この法案は、近代化への道との分岐点となる危険を持つ」と主張する著名なリベラル派経済学者たちの援護も受けた。

 これに対し、第1副首相ジュブコフは反撃に出て、大統領チームが小売ネットワークのロビー活動をしている批判。結局、プーチンが介入することとなり、最終的に、12月18日、ロシア下院が妥協法案を承認することとなった。

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