北京のランダム・ウォーカー

アメリカ発のいまそこにある危機
中国に押し寄せるハイパー・インフレの可能性

2011年08月15日(月) 近藤 大介
upperline
S&Pがアメリカ政府の格付けを落とした〔PHOTO〕gettyimages

「オバマは50歳にして天命を知らず」(8月9日付『世界新聞報』)

「アメリカがAを一つ減らしたら、(上海)A株が一兆元減った」(同日付『新京報』)

「中国は断固として米ドルの購入を停止せよ」(8月10~16日付『世界報』)

「アメリカは札束をズバズバ刷り、中国は物価をズンズン上げる」(8月12~18日付『国際先駆導報』)

 中国が、アメリカへの警戒感を最大限に強めている。大地震の後に津波が来るように、アメリカ国債に激震が走った後、アメリカ発の「金融危機の2番底」が起こり、ハイパー・インフレが中国に押し寄せる可能性を危惧しているのだ。

 8月9日夕刻、中国の政治指導者の職住の地である中南海。先月の高速鉄道事故以来、すっかり疲れ果てている温家宝首相は、政府の最高意思決定機関である国務院常務会議を緊急召集した。議題は、「アメリカ発のいまそこにある危機」。

 この日、中国政府は、7月のCPI(消費者物価指数)が、前年同月比で6・5%アップ(37ヵ月ぶりの高値)となったことを発表した。物価指標の中心である豚肉価格に至っては、56・7%! もハネ上がっている。年初に「今年の物価を4%に抑える」と宣言した温家宝首相にとっては、面目丸潰れだ。中国はまさに、「狂乱物価の時代」を迎えつつあるのである。

 そんな時に、S&Pがアメリカ政府の格付けを落としたことで、上海総合株価指数は一日で3・79%も下落した。これは、1兆1598億ドル分という世界最大のアメリカ債権保有国である中国の「格付け」も地に落ちつつあることを意味する。

次ページ  さらに、早ければ8月中にもF…
1 2 3 次へ

このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
関連記事


underline
アクセスランキング
1時間
24時間
トレンドウォッチ
編集部お薦め記事