ビデオ・コンテンツのオープン化を狙う
クラウドDRM:ウルトラ・バイオレット

クラウドDRMを支援するタイム・ワーナー社のジェフリー・ビュークス会長 (NCTA The Cable Show会議にて、筆者撮影)

 パソコンが急に壊れて、ダウンロードで買った映画が消えてしまった・・・そんなトラブルから守ってくれるクラウド・サービスがもうすぐお目見えする。『ウルトラ・バイオレット』と呼ばれる同サービスは、ブロードバンド時代の電子著作権管理システムとして注目されている。同プロジェクトを推進しているDECE(Digital Entertainment Content Ecosystem)コンソーシアムは7月13日、コンテンツ事業者向けにライセンス発行を開始し、サービス開始まで秒読み段階に入っている。

DVD販売の凋落とオンライン視聴の拡大

 ほんの数年前まで、映画やテレビ番組はDVDによるパッケージ販売が主流だった。スーパーや量販店の店内にはDVDを並べた棚が並び、人々は好きなタイトルを買ったり、レンタルした。映画スタジオや大手テレビ局は、DVD販売で大きな収益をあげてきた。

 しかし、DVD販売は、大きな壁にぶつかっている。民間調査会社SNLケーガン(SNL Kagan)によると、2010年の米国DVD売り上げは44億7,000万ドルにとどまった。これは2009年の79億7,000ドルに比べると、約43.9%という大幅な落ち込みだ。

 過去5年の平均成長率は13.7%。これに比べると、2010年の落ち込みが如何に大きいかがわかる。こうしたDVDの不振は、オンディマンド番組やオンライン・レンタルなど、ネット経由のビデオ・サービスが増えたことによる。

 たとえば、ケーブルテレビ最大手のコムキャストは、数万本のオンディマンド番組をCATV網で配信するだけでなく、"Xfinity TV"という名称でホームページによるオンディマンド番組も提供している。また、CATV業界2位のタイム・ワーナー・ケーブルは、宅内Wi-Fi網を使ってiPadや携帯電話向けにもビデオを配信している。

 一方、オンライン・ビデオ・レンタルのネットフリックス(NetFlix)も、躍進している。同社は2011年3月末で、総加入者数が2,360万に達した。これまでビデオ・ビジネスの王者といえば2,280万加入(同3月末)を抱えるコムキャスト社だったが、その同社が加入者ではネットフリックスに追い越されてしまった。

 米国では、夕方から夜にかけて、ブロードバンド(アクセス網)トラフィックの2割から3割は、ネットフリックスのビデオだと言われている。そのほか、オンライン・ビデオ・サービスでは、フールー(Hulu.com)やアマゾン(Amazon Video)なども健闘している。

 このように米国の映画・テレビ番組は、オンラインでの流通が増え、多種多様な流通経路を通じて様々な端末で楽しむ方向に向かっている。

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