孫社長が出し直してきた3度目の「光の道」構想はまたも「机上の空論」タスクフォース委員は見た

2010年11月16日(火) 町田 徹
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 冒頭で記した提案だが、青いファントで「弊社一社でもリスクを負う覚悟」と書かれたスライドに記された「4.6兆円のリスク負担」がそのサプライズ提案である。

 だが、審議会やタスクフォースと言った公式の場で、これほどまでに荒唐無稽な「覚悟」宣言をした経営者は過去の日本には存在しなかったのではないだろうか。

 それほど孫氏の提案は疑問だらけなのである。

4兆6000億円もの借り入れ余力があるのか

 第1に、孫社長の率いるソフトバンクにそのような借り入れ余力があるのか、と言う疑問だ。

 2004年7月の日本テレコムの株式取得、2005年2月のケーブル・アンド・ワイヤレス・IDCの子会社化、そして2006年4月のボーダフォン・ジャパン買収と続いたM&Aの結果、借り入れが膨張し切っているのは金融界では周知の事実だ。

 iPadやiPhoneのヒットでキャッシュフローの出入りは大きくなっているものの、借入金の残高そのものが劇的に減ったわけではない。

 ソフトバンクは、アナリストミーティングなどの席で「少なくとも2014年までは大型投資を控える」と広言せざるを得ないほど、台所事情は苦しいのである。そうした中で、ソフトバンクグループのいったい、どこに4兆6000億円の借入余力があると言うのだろうか。

 第2の疑問は、それでも借り入れができると言い、NTTのアクセス網を担保に供出しようという孫社長の主張の整合性である。

 この点はヒアリングの場でも、筆者が孫社長に詰めた問題だ。その模様は、なぜかソフトバンクの動画配信では筆者の声が絞ってあって聞きづらいので、興味のある方は総務省のサイトの方でご確認いただきたい。

 4.6兆円を調達できるほどの担保価値がアクセス網にあるとすれば、現在のアクセス網の実質的な所有者であるNTTの株主への相応の補償を避けては通れないはずである。

 ところが、孫社長が負担を表明した4.6兆円の内訳は、債務超過を避けるための増資が5000億円、NTTのアクセス部門が持っているという負債の代理弁済が1兆円、そして今後必要になる設備投資が3.1兆円となっている。

 つまり、孫社長は、NTTの株主に、適正なアクセス網の買収資金を支払う気がないというのである。

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