町田徹「ニュースの深層」
カテゴリーアイコン

孫社長が出し直してきた3度目の「光の道」構想はまたも「机上の空論」

タスクフォース委員は見た

2010年11月16日(火) 町田 徹
upperline

 「合計4.6兆円のリスクを我々1社ででも取る覚悟があるということを宣言させていただく」---。

 ソフトバンクの孫正義社長が、やや声を強張らせて、こう述べ、単独で国策を背負って立つと広言したのは、11月9日のことだった。

〔PHOTO〕gettyimages

 舞台は、東京・霞が関の総務省だ。超高速通信網「光の道」を世界に先駆けて整備する方策を論じる政府主催のヒアリングの場での出来事だった。

 ADSL事業参入から10年未満で国内3位の通信コングロマリットを育て上げた孫社長の宣言だから、普通ならば、同社長は称賛の対象で、その覚悟に嵐のような拍手が起きてもおかしくない場面だったのかもしれない。

 しかし、実際に、その場に広がったのは、言葉では形容しがたい冷ややかなムードだった。過去2度に続いて、合計3度も「机上の空論」を聞かされるのかと不快感を隠せない専門家も少なくなかった。

 それにもかかわらず、孫ソフトバンクは各種のメディアを通じて、自社案こそ「税金ゼロで整備できる」「日本復活の鍵」と国民に売り込むのに躍起である。

 この落差は何なのか。なぜ、孫案は専門家に相手にされないのかを述べることにしよう。

 まず、「光の道」構想を説明しておこう。2015年までに国内の全世帯が光ファイバー網などの超高速ブロードバンド網を利用する状態を整備しようというものだ。

 実施案作りを担当しているのは、原口一博前総務大臣が昨年10月に設置した「グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース」の傘下にある「過去の競争政策のレビュー部会」と「電気通信市場の環境変化への対応検討部会」という2つの部会である。

 すでに1年を超す歳月が検討に費やされている。

 筆者は、一介の経済ジャーナリストに過ぎないが、タスクフォースの末席に構成員(委員)として名を連ねている。

次ページ  その第16回会合として開催さ…
1 2 3 4 5 6 次へ

このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
関連記事


underline
アクセスランキング
1時間
24時間
トレンドウォッチ