駅から徒歩10分以上かかる"不便なお店"を敢えて選ぶ理由

 初めて行くお店を選ぶ時の基準は何だろう? 

 ネット上の評判やテレビや雑誌の紹介を見て、という人が多いと思うが、私が重視するのは"最寄駅からの距離"である。

 どんなに人気のあるお店でも、駅から2分で繁華街の路面に面しているような場合は行ってみてよかったという経験があまり無い。むしろ駅から徒歩10分といったちょっと不便なお店にこそ、自分が行きたいお店があるケースが多いのだ。

「わさ」の「ピータン豆腐 わさスペシャル」という一品。普通のピータンと豆腐だけを合わせた味ではなく、ゴマやラー油の味が複雑に絡みあった、フレンチのような繊細な仕上げ

 便利で人通りの多い場所は地代も高く、その分値段が割高になる。

 また、たくさんのお客さんを効率よく回転させなければならない。結果、落ち着かないお店が多い。

 しかも、料理も万人受けするものになってしまうので、エッジの効いたマニアックなお店になりにくいのだ。

 逆に駅から離れているのに繁盛しているということは、それだけお店に魅力があるということ。わざわざ訪ねるだけの価値を感じている人が多いということだ。

 例えば、自由が丘にある中華料理の「わさ」。最寄駅からは15分近く歩く。

 周囲にはあまりお店が並んでいるような商店街では無いが、そこだけが別世界のようになっている。

 同じ自由が丘にあるイタリアンの名店「Mondo」も駅から徒歩10分以上。しかも、このお店は場所がとてもわかりにくい。どちらも、コアなファンの熱狂的な支持を集めているお店だ。

 あるいは、そばの名店「七つ海堂」も駅からは遠い。下北沢が最寄り駅になるが、徒歩10分以上はかかる。ここも遠くから車に乗ってやってくるお客さんがいるくらいの人気店。ただし定休日が多く、そばが売り切れると閉店なので、確認してから行かないととても悲しい結果になるので注意が必要だ。

  代々木公園界隈にも駅から遠い名店がある。富ヶ谷にある「Recover」。理佳さんがやっているバーだからリカバー。あるいはアヒルに似た兄妹がやっているのが、名前の由来という「アヒルストア」。

「アヒルストア」のパルメジャーノとアンディーブのサラダ

 どちらも代々木公園駅から10分ほど離れた場所にポツンと1軒存在するお店。だが連日マニアックな料理とお酒を求める人がやってくる。

 「グルメ設計塾」で紹介してきたお店は、駅から離れたお店やわかりにくい場所にあるお店が多い。

 そんな場所で、5年10年と営業を続けているお店にはきっと「価値 > 価格」が存在する。しかも、同じような嗜好を持った人たちが集まって良い雰囲気を醸し出している。

 よいお店かどうかはロケーションからも、ある程度判断することができるのである。

<グルメの法則 30  
不便な場所にあるお店ほど、個性ある「価値 > 価格」の場合が多い


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