EUのソブリンリスク拡大=鍵を握るドイツ
一部の欧州諸国の財政状況の悪化はかなり進行している〔PHOTO〕gettyimages

 足許で、EUのソブリンリスクの火の手がフランスにも拡大している。昨年5月、ギリシャに端を発したソブリンリスクは、その後、アイルランドやポルトガルへと広がったものの、今年7月に、ギリシャ向け救済策の合意によって、一旦、小康状態を保っていた。

 しかし、一部の欧州諸国の財政状況の悪化はかなり進行しており、小手先の救済策で解決できることは考えにくい。むしろ、救済策とりまとめの過程で、EU最大の経済国であるドイツの政治的なスタンスが、ソブリンリスク対象国の救済に否定的なことを浮き彫りにしてしまった。そうなると、ソブリンリスクの火勢を食い止めることは困難だ。

 財政不安の波は、当初のギリシャやポルトガルなどからスペインやイタリアに広がり、さらには、フランスまで広がる気配を示している。EUの中心であるドイツが、EU内のソブリン対象国を救済することに否定的な態度を取り続けると、火の手がさらに勢いを増すことも考えられる。中・長期的に見ると、ユーロの存在そのものを危うくするかもしれない。

ソブリンリスク対象国=独力では問題は解決できない

 ヨーロッパの経済専門家の間では、ギリシャやアイルランドが、独力で多額の借金を返済し、問題を解決できると考えている人は殆どいなかった。それでも、昨年の春先まで、EUのソブリンリスクの問題が注目されなかった理由は、「最終的には、ドイツやフランス等EUの主要国が、困窮した諸国に手を差し伸べるはずだ」との読みがあったからだろう。

 ギリシャやアイルランドを比較すれば、はるかに経済規模が大きく、しかも産業基盤がしっかりしたドイツやフランスが困っている諸国を本気で救済すれば、ソブリンリスク問題の拡大は防げるはずだった。

 逆に言えば、多くの専門家は、「ギリシャなどが、独力で多額の借金を返せない」ことは明らかだった。重要なポイントは、頼みのドイツが、最後の最後まで救済に否定的態度を取ったことだ。EU内第2の大国であるフランスは、国内の大手金融機関が、多額の南欧向けの貸出金や国債を保有している事情もあり、救済に積極的な態度を取ったのと対照的に、ドイツのスタンスは固かった。その意味では、EUのソブリン問題の鍵を握っているのは、今でもドイツということが出来る。

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