「利権対立」で遅々として進まなかった東北がれき処理が1兆円の予算化で動き出した!
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 東日本大震災の悲惨を、今もそのまま伝えるのが岩手、宮城、福島の東北3県に発生した2500万トンもの大量のがれきである。

 道路などの復旧が進み、息を呑むようながれきの散乱といった事態は改善され、目につかなくなった地区もあるが、がれきはどこかで処理されたわけではない。一時仮置き場に積み上げられただけ。その壮大な山は、やはり尋常ではない津波が3県を襲ったことを、改めて想起させる。

 なにより、異臭を発し、衛生面で問題があるのはもちろん、粉塵となって近隣の住宅に迷惑をかける。復興を果たすためにも、まず手をつけるべきはがれき処理なのだが、「政官業」のそれぞれに思惑があって、遅々として進んでいなかった。

自動車のリサイクル権は?金庫の持ち主は?

 大震災発生当初、1万5000人を超える行方不明者の捜索を、自衛隊の手も借りて行っている状況では、生存者や遺体の確認が優先され、作業が慎重になるのはやむを得なかった。

 想定していない事態の連続に、現場が判断できずに混乱する側面もあった。数10万トン発生した冷凍庫内の腐った海産物のビニール袋をどうするのか、被災した26万台の自動車につけられたリサイクル権をどう処理するのか、何千と発見された金庫の持ち主が見つからない場合、なかの現金や預金や貴金属は、誰のものになるのか・・・。

 通常の産業廃棄物処理法で処置できる範囲を逸脱、私的所有権が絡むうえ、福島原発事故の影響で汚染がれきの問題もあって、ただ集めて積み上げるだけの作業が続いた。

 この間、国の費用で国が全面的に責任を持つように法整備するのが急務であったはずなのに、政局に明け暮れて放置、そのために「がれき処理は市町村の仕事」という旧来のやり方を踏襲、地元業者が"細々"と取り組むしかなかった。

 官界もまた、菅政権に距離をおき、積極的に動かない。

「いつ政権交代があるかも分からず、我々を敵視する首相のところに、知恵とアイデアを持って行く気にはなりません」

 こううそぶく環境省の官僚がいたという。

 廃棄物の処理を行う専門業者や土建業界もそうである。全国レベルのゼネコン、マリコン、サブコンの力を借り、地元業者も含め、総動員体制で臨む仕事であるはずなのに、主導権争いが続いた。

 廃棄物業界団体の幹部が嘆息する。

「パワーショベルもトラックも人員も何もかも不足、ゼネコンの力を借りるしかないんです。でも、復興事業だという"建前"を押し出して、自分たちがメインになって仕事を受け、ゼネコンやサブコンなどの大手を下につけようと画策している。気持ちはわかるが、我を張るような時じゃない」

 がんばろうニッポン!

 がんばろう東北!

 聞き飽きた掛け声の裏で進行しているのは、無責任な放置の果ての利権争奪戦。震災復興の"美談"からはほど遠い。

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