upperline

 米国・ロサンゼルス・UCLAのEmeran Mayer教授らがGastroenterology 7月号に発表した研究で、過敏性腸症候群患者の脳には器質的な変化があり、心因性だけのものではないことを明らかにしました。

 教授らは中程度の症状の過敏性腸症候群と診断された女性患者55人と、患者たちと比較対照するための同年齢の健康な女性48人を被験者にして、MRI(磁気共鳴イメージング)を使用して大脳の画像を詳しく調査しました。

 その結果、過敏性腸症候群患者の脳では前頭前皮質内側部、前頭前皮質腹外側部、後頭頂葉皮質、腹側線条体、視床などを含む広範な領域の灰白質の密度が減少していました。教授らによれば特に痛みを最大の苦しみとしている患者に、上記エリアの密度の減少が見られたということです。一方、不安や抑うつと関連している脳の領域に関しては、過敏性腸症候群患者と健康な人に違いはありませんでした。

 また、同じく慢性痛に悩んでいる線維筋痛症の患者では、痛みの信号そのものが増加し続けるのに対し、過敏性腸症候群の患者では腸から送られてくる痛みの信号を大脳自体が増幅している可能性が大きいこともわかりました。

 教授らは今後、患者の家族の脳を調査し過敏性腸症候群の遺伝的要因が特定できれば新たな治療の道が開けるのではないかとしています。

医療ジャーナリスト 宇山恵子
Gastroenterology 7月号


このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
関連記事

最新号のご紹介

underline
アクセスランキング
1時間
24時間
トレンドウォッチ