V逸で消えた
巨人「ドラフト1位」に斎藤佑樹

「今春の段階で巨人はドラフト9位候補として斎藤(佑樹・早大)、澤村(拓一・中大)、大石(達也・早大)の3人を横一線に評価していました。巨人は球界のリーダーという自負があるため、人気のある選手を高く評価する傾向がある。その点でも斎藤は格好の素材だったんです」(スポーツジャーナリスト・安倍昌彦氏)

 仮に斎藤の巨人入りが実現していたら、球界だけでなく、世間を騒然とさせる大ニュースになっていたに違いない。

 11月3日、六大学野球では50年ぶりとなる優勝決定戦で勝利投手となった斎藤。ドラフト会議では4球団が競合し、日本ハムが交渉権を得たが、直前まで巨人も斎藤を9位で指名する可能性が高かったのだ。フォームの修正に苦しんでいるといっても、「腐っても斎藤」と人気面を重視した巨人軍関係者もいたという。

 しかし、今季の巨人の成績が足を引っ張った。序盤は首位を独走しながら、8月以降、東野峻、内海哲也ら先発陣が調子を落とし大失速。シーズン3位に終わり、CSでも中日に敗れた。

「来季優勝は絶対条件。原辰徳監督にとっても背水の陣の覚悟を強いられる。そこで秋のリーグ戦で完投能力の高さを証明した澤村を『すぐ使える』と判断したんです」(スポーツ紙デスク)

 澤村の育ての親、高橋善正・中大監督も、記者たちの前でこう漏らしている。

「(巨人が)優勝していたら、斎藤だったんじゃないか。投手陣がダメだったから、澤村を指名したんだろう」

 前出の安倍氏が推察する。

「横綱相撲で勝つことをよしとしている球団だけに、注目度が高い斎藤よりも、実力派の澤村を必要としたのかもしれません」

 その結果、最速157km/h右腕は巨人の単独指名となった。ちなみに、高橋監督は元巨人の投手、宮井勝成中大総監督はいまも巨人軍に籍がある末次利光氏の義父。

 遡れば阿部慎之助、亀井義行など、「中大―巨人」の強固な繋がりに他球団は手も足も出ないのが実情だ。今年も視聴率低迷に苦しんだ巨人。

 球界のスターより目先の勝利にこだわった補強で「球界の盟主」の座を取り戻せるのか、甚だ疑問である。