米国放送行政とグーグル・テレビの不思議な関係 [第3回] 
揺れ動く米ブロードバンド放送政策のゆくえ

vol.2 はこちらをご覧ください。

 第1回および第2回では、Google TVと大手テレビ会社の対立、米国で急速に人気を集めるブロードバンド放送の状況をまとめた。今回は、ブロードバンド放送の規制で揺れ動く米国政府の動きを追ってみよう。

OTTのスカイ・エンジェルに何が起こったのか

 インターネット電話が初めて登場した1990年代、行政機関はこれを"電話"として規制すべきか、それとも"ネット・サービス"として放置すべきか─で大きな議論が巻き起こった。結局、数年の議論をへて、米国ではスカイプのようなコンピュータ・ベースの通話は非規制に、ケーブル電話のような電話番号ベースのサービスには軽い規制を適用するようになった。

 皮肉なことだが、前回紹介したブロードバンド放送についても、いま同じ議論が始まっている。ここでは、最近注目を浴びたスカイ・エンジェル(Sky Angle)事件を取り上げてみたい。

 スカイ・エンジェルは、宗教的な観点から暴力や猥褻要素を排除したテレビ放送を目指す面白いテレビ局で、もともと放送衛星を使ってサービスをおこなっていた。しかし、ブロードバンドが伸びてきたため、衛星利用をやめてブロードバンド放送に切り替えた。

 今年1月、米国の大手番組制作会社ディスカバリー(Discovery Communications)は、このスカイ・エンジェルに対し"番組供給打ち切り"を通告した。ディスカバリーは青少年向けの科学・教養番組を多数制作しており、スカイ・エンジェルは同番組を購入して配信していた。

 供給打ち切りの連絡を受け、スカイ・エンジェルは、FCCに駆け込んだ。米国の通信法(Telecom Act 1996)では、放送事業の競争促進を狙って競合他社であっても、要求があれば適切な価格で番組を提供することを義務づけている。この規定のおかげで、衛星テレビやIPTVは競合するCATV会社が持っている番組制作会社からも番組の調達ができる。

〔PHOTO〕gettyimages

 スカイ・エンジェルはディスカバリーの番組供給打ち切りは不当だとして、この義務を根拠にFCCによる救済を求めた。だが、スカイ・エンジェルに対するFCCの回答は意外だった。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら