菅内閣は「仙谷斬り」と「TPP参加」で支持率回復を目指せ
尖閣漁船問題でも国民に愛想を尽かされ
墜落寸前

『読売新聞』(11月8日朝刊)の調査では、35%と前回調査よりも18%も支持率が急落し、不支持は55%と菅政権発足以来最高の水準を記録した。同時期に行われた共同通信の調査でも、支持率は32.7%と菅政権発足以来最低で、不支持は率は48.6%だった。

 30%台の支持率が、現在の菅内閣の実力であるらしい。

 時の内閣は、内閣支持率に対して過剰反応せずに正しいと信じる政策を実行すべきだという建前はあるが、この度の支持率下落は急激であり、そこに表れた民意は無視できない。

 民主党への政権交代前の自民党の三政権もそうだったが、メディアが発表する内閣支持率が下がると、結局政権は保たない。

 これは、民主党の鳩山内閣でも同様だった(それにしても普天間問題を争点化して、期限を切って自ら転んだ内閣の潰れ方は異様だったが)。

 今回の支持率大幅下落の直接的な原因は、尖閣諸島沖の中国漁船問題の処理を誤ったことだろう。

 明らかな公務執行妨害の容疑者だった中国人船長を解放したことも、これを政府の決定ではなく沖縄地検の決定だと責任逃れしたことも、事実を知る有力な手掛かりであるビデオを政府が非公開としたことも、大多数の国民感情として、とても納得のできる対応ではなかった。

 もちろん、米国の株価はリーマンショック以前の水準まで戻ったのに、日本の株価がまだ当時(日経平均は1万2000円台)のはるか下で低迷していることからも分かるように、経済政策も上手く行っていない。

尖閣沖問題は仙谷斬りで乗り切れる

 『毎日新聞』(11月8日朝刊)の報道によると、尖閣沖問題で、仙石氏は、民間コンサルタントである篠原令氏に中国との橋渡しを依頼した。その結果、細野剛志氏らが中国側の当局者と会談し、「衝突事件のビデオを公開しない」、「仲井真(沖縄県)知事の尖閣諸島視察を中止して貰いたい」との先方の要求に、仙谷官房長官が同意したのだという。

 中国の内政に配慮したか、中国との経済関係でこれ以上のトラブルを避けようとしたか、どこに真意があったのか分からないが、国としての正論を売り渡すような対応が支持されるはずもない。

 ビデオ流出問題の捜査も、この問題に対する国民の関心を惹きつける効果を持つので、菅政権の支持率を引き続き引き下げる方向に作用するだろう。

 尖閣沖問題については、政府の対応を非難する声が圧倒的だが(この問題に対する菅内閣の対応を「評価しない」が82%に上る)、これはすでに起きてしまったことだし、ビデオもすでに流出したので、仕方がない。

 問題は、この責任を誰が取るかということだけだ。誰も責任を取らないと、いつまでも責任を追及される。失敗は誰の目にも明らかなのだから、責任を取らないことで失敗がなかったというふりをするよりは、サプライズ感のある引責を政権自ら演出する方が効果的だ。その場合、問題への対応を誤ったという意味でも、支持率を回復するという意味でも、仙谷官房長官の辞任が一番いい。

 首相就任以来、菅氏は優柔不断ぶりを揶揄されることが多いが、自他共に認める政権の実力者である仙谷氏に詰め腹を切らせることができれば、政権の支持率は大いに回復するだろう。権力志向の強い冷厳な現実主義者であるとのイメージがある菅氏だが、そこまで踏み込めるだろうか。

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