井上久男「ニュースの深層」
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業界激変!トヨタが営業利益で日産に破れた理由

産業界の勢力図が塗り代わり始めた

2010年11月06日(土) 井上 久男
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〔PHOTO〕gettyimages


本業での儲けを示す営業利益額の比較で、トヨタ自動車が日産自動車に負けた――。

 1982年にトヨタ自動車工業とトヨタ自動車販売が合併して現在のトヨタが誕生して以来、ともに黒字状態での比較では初めてのことだ。

 自動車産業を長年ウオッチしてきた筆者から見て、信じられない出来事である。しかし、冷静に考えると、これは、2008年9月のリーマンショック以降、産業界の勢力図が変わろうとしていることを象徴している。

 トヨタが11月5日発表した2011年3月期の中間連結決算は、売上高が前年同期比15・5%増の9兆6784億円、営業損益が1369億円の赤字から3231億円、当期純損益が560億円の赤字から2891億円の黒字にそれぞれ転じた。円高の影響で1200億円の減益要因があったものの、エコカー補助金による国内での販売増や経済成長が著しいアジアでの好業績に支えられた結果、増収増益になった。

 しかし、前日発表した日産の連結中間決算と比較すればトヨタは大きく見劣る。日産の売上高は27・7%増の4兆3191億円、営業利益は約3・5倍の3349億円だった。日産もトヨタ同様に国内やアジアで販売が伸びたことが好業績につながった。ただ、日産の売上高はトヨタの半分以下であることを考えると、いかにトヨタの利益率が低いかが分かる。

 両社の収益構造をもう少し細かく見ると次のようになる。地域別営業利益で、国内は、トヨタが520億円の赤字(前年同期は2577億円の赤字)なのに対し、日産は850億円の黒字(同432億円の赤字)だ。北米は、トヨタが1557億円の黒字(同120億円の黒字)に対し、日産は1291億円の黒字(同906億円の黒字)。欧州は、トヨタが89億円の赤字(同186億円の赤字)で、日産は276億円の黒字(同65億円の黒字)。アジアは、トヨタが1642億円の黒字(同654億円の黒字)で、日産は958億円の黒字(同253億円の黒字)だった。

 

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