児玉龍彦(東大先端研教授)×津田大介(ジャーナリスト)対談Vol.1「福島のため、日本のためにいまするべきことは何か」 グーグルアースのような線量マップを

2011年08月11日(木)
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児玉: 科学者が議論するときには前提があるんですよ。その上で議論してる。ところが前提が間違っていると、みんな間違っちゃうんです。まず最初、(手元の資料を示して)ここに出したやつなんかでそれを言いたかったんです。

津田: 今日はそれをお聞きしたいんです。

児玉: 前提を切り替えるっていうのが大変なんですよ。これまでの議論では、みんな放射線が安全かどうかっていうのは何マイクロシーベルトだとか、そういうどこにいくつ出てるから安全だとか、あるいは不安だとか、その数量を巡って延々とやってますよね。

 だけど今回の事態で、僕が最初に思ったのはそうじゃないんです。原発から100km離れたところで5マイクロシーベルトという量が検出されている。平均は5マイクロシーベルトかも知れないけれども、あるところではその10倍、あるいは100倍ってところがあるかもしれない。500マイクロシーベルトかも知れないし、またすぐそばでも0・5かも知れない。

 例えば文科省が子どもの被曝を計算するときに、学校にいる時間の被曝を計算しているんです。だけど家に帰っても被曝する。だから意味がないじゃないですか。それから食品一個食べるときに、この食品を何百キロ食べたら害が出ますとかっていう言い方しますけど、全部の食品に入る可能性があるわけですよ。現実に、それがもう起こっている。それから思いもかけないところで濃縮されるってことも起こります。

 だから問題の質が、これまでと変わっちゃった。この研究室にもいっぱいアイソトープの管理の記録っていうのがあります。これらは全部、ある点にアイソトープがあって、そこから距離を離せばいいとか、体に着いちゃったらその点の濃度を見ればいいっていう話なんです。しかし、今度は点ではなく面とか空間で出ちゃってるわけですね。だからいまの法律では対応できない。

 ところが学会の主流の専門家も、それから文科省やその他のお役人も、政府の人も、問題が変わってることを気づいてない。だから従来の法律でそのまま考えてしまっている。

いまはセシウムの問題をやるべきだ

津田: それくらいの規模のかなりイレギュラーな事態、大きな事態が起こってるにも関わらず、平常時のもので対処しようとした。「ただちに影響はない」みたいな言い方で、いろいろな処理が行われているわけですね。

児玉: しかもいま出ている食の安全とか、そういうのの議論も全部それじゃないですか。

津田: 「まず収束が」みたいなことばかり、言うようになってますからね。

児玉: ほかにもちょっと違うと思うのは、実際にわれわれがアイソトープの受け入れとか廃棄とかをやるときに、僕らは例えばP30というリン酸とI125というヨウ素は別々に扱います。例えば何マイクロシーベルトとという議論だと、それらをみんな一つにしちゃうじゃないですか。

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