この著者に聞け
2011年08月29日(月)

村山斉(東京大学国際高等研究所数物連携宇宙研究機構 機構長)
「宇宙は本当にひとつなのか」

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 物質の最小単位である素粒子の世界をやさしくひもとき、たくさんの人たちの心をつかんだ村山斉氏の近著『宇宙は本当にひとつなのか』が、発売1週間で重版され、早くも話題になっている。宇宙はどこまでわかってきて、どのようなことが研究されているのか、村山氏に話をうかがった。

 宇宙には数えきれないくらいの星があって、私たちの目に見えているものだけが宇宙だと思っていましたが、まだわからないことがたくさんあるのですか。

 村山: すばる望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡などのおかげで、私たちは遠くの銀河や星の美しい姿を見ることができるようになりました。そのような画像を見ていると、宇宙の美しさや神秘を感じます。ですが、2003年を境に、宇宙に対する認識が180度変わってしまいました。人工衛星を使った観測から、銀河や星といった目に見える部分は宇宙全体の4.4%にしかすぎないことがはっきりしたのです。つまり、私たちは、5%にも満たない部分しか見ていたかったことが明らかになりました。

 銀河や星が宇宙全体の5%より少ないというのは驚きですが、残りの96%はどうなっているのですか。

 村山: それが、今はほとんどわかっていません。ただ、わかっているのは宇宙全体の23%を正体不明の物質である暗黒物質が占めていて、73%がこれも正体のわからない暗黒エネルギーとなっているということだけです。

 暗黒物質や暗黒エネルギーと聞くと、スターウォーズのダース・ベーダーを思い出してしまいますね。

 村山: そうですね。ダース・ベーダーはシスの暗黒卿として登場しますが、このときの暗黒は「邪悪な」という意味合いが強いですね。もちろん、暗黒物質も暗黒エネルギーも邪悪なものとは全く関係ありません。暗黒物質や暗黒エネルギーの暗黒は、「正体不明の何だかわからないもの」という意味で使われています。暗黒というのは真っ暗で何が何だかわからないというイメージがありますよね。停電になると、そこにものがあるのはわかりますが、それが何かわからないときがあります。

次ページ  それと同じように、暗黒物質も…
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